『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』で考える介護
原題は、THE SAVAGES
野蛮な人、無作法な人という意味もあるようですが、
ここは「サヴェージ家」ってことでしょうかね。
uerei認知症シリーズ、第1弾。
なんと日本では劇場未公開です。
いつのまにかDVDになっておりました。
発売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
親にアルツハイマーが発症、それに戸惑う兄妹の物語
20年も離れて暮らしていた父親がアルツハイマー型認知症になり、
2人きりの兄妹、兄のジョン(フィリップ・シーモア・ホフマン)と、
妹ウェンディ(ローラ・リニー)が
親の介護という問題に直面するというストーリー。
おおむね、突然、親の介護をしなければならなくなったときの
子どもたちの不安というか、苦悩というか、戸惑いというかが
すべて詰まった映画だと思います。
結局、普遍的な部分はアメリカも日本とそう変わらない感じがしました。
こういうの、劇場でスルーしちゃうなんてひどいや、なんて思いますが。
配給元は私が個人的に大好きなフォックス・サーチライトというところなので
まあ、許します。
ちなみに。。。
本筋とはまったく関係ありませんけれども
この映画の冒頭では、30代後半のウェンディの
子宮頸がん検診の結果が留守電に吹きこまれています。
これってアメリカではごく普通のことなんだと思うんですよね。
日本の検診受診率は20%程度。アメリカでは80%越えてます。
さて、本筋
親の介護という現実をある日、突然突きつけられたとき
私ならどうするでしょうか。。。
しかも、この父親は、暴力的で高圧的だったため
ジョンもウェンディも早い時期から家を出て、学歴も高く、自立し、
兄妹としても離れて暮らしていた期間は長かったろうと思います。
そんな中で、関係の希薄だった父親を引き取ることになってしまうのですから、
すぐにけんかになったり、意見がなかなかかみ合いません。
とはいえ、父親をいざ施設(ナーシング・ホーム)に入れるときには、これでいいのか、自分たちは何て親不孝なんだと思い、
入れたら入れたで、もっといい所があるはずだと見学に行ってみたり
ホームに対して苦情がたえなかったり。
とても普遍的なことで悩む、ミドルエイジの兄妹
また、中年の兄妹もそれぞれに問題を抱えています。
ジョンは大学教授で、悠々自適に暮らしているように見えて、
恋人(ポーランド人)の帰国に胸を痛めています。
おなかがでっぷりと出て、コレステロールの薬を飲んでいます。
また、ウェンディは、断ち切りたいと思いながらも隣人と不倫中。
契約社員をしながら、作家になる夢はあきらめていません。
頸がんの検査結果のtelは、それなりの年齢だという布石なのかもしれませんね。
鎮静剤を飲まなきゃ、やってらんないという毎日です。
ああ、どこも同じようなものなのかもなぁという感想を持ったのは
私だけじゃないはず。
かつての父親が、そうではなくなってしまったとき、
それは決していい父親ではなかったとしても、
兄妹をおそうむなしさ、悲しさ、切なさ。
しかも、実にあっけなく逝ってしまうのですから。
フィリップ・シーモア・ホフマンは『カポーティ』でアカデミー賞主演男優賞、
ローラ・リニーは、この作品で主演女優賞ノミネート。
オスカー俳優の豪華共演となったわけです。
その年の脚色賞にもノミネートされていました。
私はとても好きな映画です。
父親の介護と最期を通して、兄妹の関係性もまた少しずつ変わっていくのがとてもいい感じです。
不倫隣人の犬マーリーにもちょっとうるうる。
いろいろあっても、父親は父親で、兄妹は兄妹で、家族は家族なのですから。
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