長い時間がかかっても『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
バップより、DVD&Blu-ray発売中
DVD価格:3,990円(税込) Blu-ray価格:5,775円(税込)
浅野忠信さん、永作博美さんのコンビで送る、
鴨志田穣&西原理恵子夫妻のもう一つの物語。
豪快で、破天荒なイメージもある西原理恵子さんが、
どんなふうに鴨志田穣さんと過ごし、
そして看取り、子どもたちがそれをどうとらえたかというのが『毎日かあさん』。
アニメ観てても、笑いながら、なぜか切なくなってしまうのですけれど。
子どもたちが、こうした映画化をどうとらえているか、
ちょっと気になってしまうのですけれど。
同じように鴨志田さんの原作をもとに、この夫妻を題材にして、
よりアルコール依存症について焦点を当てたのがこちら、略して『酔いさめ』です。
永作さんは、上映中の『八日目の蝉』でも好演されていますが、
この映画でも、それほど登場シーンは多くなくとも、
とても印象的に演じておられます。
そして、何と言っても、浅野忠信さん!
浅野さんの演技に、何度、背筋がぞくっとしたでしょうか。
本当に寒気を帯びて鳥肌が立ちました。
『毎日かあさん』が陽なら、こちらは陰ともいうべきか
アルコール依存症の闘病から回復まで、つまり、
“おうちに帰る”までが描かれています。
『毎日かあさん』の小泉今日子さん、永瀬正敏さんの夫婦もとてもよかったし、
原作からそのまんま抜け出たような感じの子どもたちといい、
笑えるところがたくさんあったのですが、
同じ夫婦・家族を描いていても、まったくの別物です。
どっちが本当っぽいとか、似てるとか、そういうことは置いといて、うん。
同じ物語のようでいて、光と影というか、陰と陽のような
関係の映画なのだろうと思います。
『酔いさめ』は、原作が鴨志田さんということもあり、
鴨志田さんからの視点で、淡々と、軽妙に、ユーモラスに
アルコール依存症による幻覚(幻視・幻聴)と現実の間を、行ったり来たりします。
その幻覚がすごくリアルというか、何と言うか。
「あれ? おれ、今、何か言いました?」とか言ってみたり、
突然にぶっ倒れちゃったりすることも何回かあって。
とても子どもと観るには・・・、一瞬、PG12指定だったかしらと思うような
場面もあったりなんかして。
でも、しかし、東陽一監督の手腕と、浅野さんの演技のたまものでしょうか。
そうやって追っていきながら、
一体何が、そこまで彼を追いつめてしまったのか、
気になって気になって、仕方がなくなります。
クライマックスで、リハビリの最終段階として、
「自分がなぜアルコール依存症になったか」という自分史を語る場面では
涙をこらえきれませんでした。
たくさんの時間と、後悔と、苦悩と、懺悔と、血と汗と涙をへて、
おうちに帰ることができた鴨志田さん。
酔いがさめるまで、相当長かったろうなあ。
酔いがさめるまで、想像を絶するようなことが実際はもっと、もっと起こってたんだろうなあ。
おうちにいた時間は、けして長くはなかったとしても、
「充実」という意味で、とても高いQOLだったはず。
ラストシーンからの、忌野清志郎さんの「誇り高く生きよう」も
とてもよい余韻でした。
(ちなみに、知り合いが病棟の患者役で出ています。
知らなかったので、劇場で軽く「おわっ」と叫んでしまいました…。)
・酔いがさめたら、うちに帰ろう。@ぴあ映画生活
・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy
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