『やさしい嘘と贈り物』を、ありがとう。
販売元: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
★★★★
夫婦、親子、家族ーー
自分のキホンの人間関係を
改めて大事にしたくなる
この映画とても好きですね。
原題は「Lovely, still」(まだ愛する人、まだすてきな人とでもいうか)と
まあとてもかわいらしく、主演の大御所2人もとてもかわいらしく(すみません!)
映画自体も、おおむね、
本当にやさしい愛の物語だな、と思います。
夫婦、親子、家族という、自らの足元の関係を改めて見直したく(?)なってしまいます。
主演の大御所は、ともにアカデミー賞受賞者の
マーティン・ランドー(『エド・ウッド』)と
エレン・バースティン(『アリスの恋』)。
監督は、この2人の孫のような年の、20代のニック・ファクラー。
脚本を書き始めたのが高校生のときという、若い力をもって
往年の名優を相手に、考えさせられるテーマですてきな作品を作り上げています。
ひとり暮らしのロバートは、クリスマス・シーズンだというのに孤独な身。
毎日、目覚ましラジオを止めて規則正しく起き、電動カミソリでひげをそり、
歯磨きをし、身だしなみを整えて
勤め先のスーパーに出かけていく、という日々のくり返し……。
だが、ある日、向かいに引っ越してきた心優しい女性メアリーと出会ったことで、
彼の人生は突如として輝き始めます。
メアリーも彼に好意を寄せているようで、期待と不安の入り交じった初デートは
まるで初恋のようなときめきを与えてくれたのですが……
<以下、ネタバレ>
こちら、認知症シリーズ?第2弾です。
実はロバートは認知症で、メアリーは彼の妻だったのでした。
アルツハイマー病ではなく、脳血管性の認知症のようです。
ロバートと、彼をそっと気にかけるメアリーを
さらに遠くからいつも見守っている
ロバートの息子と、メアリーの娘も、実は兄妹という・・・。
でも、その「やさしい嘘」のネタバレは、観ていたらすぐに気づくのですが
本筋はその謎解きとかではなくて
長年連れ添った相手、人生の大半をともに過ごしてきた相手を
忘れてしまいながらも、また、恋をするという、
『明日の記憶』のラストに感じさせるものや
「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 2nd season」の1エピソードなどでもあったような
だれにでも起こりうるかもしれないことをとてもファンタジックに描きながら、
やっぱり、最後にはつらい現実が待っている。
わかってはいるけれど、
「それでも、寄り添いたい」という愛を感じずにはいられないのです。
これには、わさびが利き過ぎたときのような、鼻にツーンとくるような
せつない気持ちになってしまいます。
また、
もとは、ロバートはスーパーの経営者だったのですから、
毎日毎日、きちんと身だしなみを整えることは、
認知症になっても、ごくごく自分の一部になってるのかも、なんて思っていましたが、
いろいろな身の回りのこまごまとしたことは
メアリーが隠れてやっていた、というところも
グッとくるポイントではありますね。
・やさしい嘘と贈り物@ぴあ映画生活
・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy
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年老いてひとりで暮らす老人のラブストーリー『やさしい嘘と贈り物』。
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