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2011年11月16日 (水)

ただの感染モノじゃないよ『コンテイジョン』

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コンテイジョン


★★★★

新種ウイルスの感染パニック!
映画の中で起きてることが
なぜか今の日本と重なってみえる


まず初めに、『コンテイジョン』て何!? と素朴なギモン。

なぜ原題そのまま?
まあ最近は、気の利いた邦題をつけるのが難しいからか
原題そのままってパターンは多いかも、と思っていましたが。


「Contagion」とは!?

ウィズダム英和辞典によれば
病気の「接触による感染」だとか「伝染」「伝染病」だそうです。

ウイルス感染ならばviral infectionだけれども、そうではない理由とは?


同じ感染パニックものとして有名な、1995年の『アウトブレイク』は空気感染でしたが
その場合にはinfectionというようで。

「Contagion」という場合は、感染者の体に直接触れたり、
感染者の触れたドアノブやグラスなどに触れたら
感染してしまう、という接触感染を意味しています。


そう、触れるだけで

次々と誰かに感染してしまう

脅威のウイルスが

世界規模、

ほぼ同時進行で広がっていく、というお話なのです。


しかも、「Contagion」には

もう1つ
「あまり好ましくない思想、感情などの蔓延」という意味も

あったんですねぇ。

いうならば、恐怖やパニック感情の蔓延でしょうか。

怖い、怖いですねぇ。


人々の間に拡散していくのは、


驚異的な感染力と致死性を持つ正体不明のウイルスそのものに対しての恐怖と


家族や隣人がもしかしたら感染する、もしくはすでにしているかもしれないという不安、


あるいは政府の欺瞞、情報不足・情報操作などへ不満や怒り、


自分たちさえ助かればいい、という自己中心的な感情、etc。


東日本大震災の直後、暴動の1つもなく、整然と並んで買い物をし、

互いに協力し合って帰途につく日本人の姿が

海外メディアに賞賛されていましたが、

もし今、

今度こそ何かが起こったときも、私たちは果たしてそうでいられるでしょうか。


極限状態におかれたときの人間の行動とは!?


この映画の肝になっているのは、この部分でしょう。

また、ブログやTwitterであっという間に正誤の分からない


さまざまな情報が広がっていく一方で


肝心なことがちゃんと伝わらなかったり、


Facebookのオープンさが波紋を呼ぶシーンもあります。


この映画は、未知のウイルス感染のシュミレーションでもありながら、


メディアや情報に対するリテラシーという点では


今の日本の事態への警鐘のようにも思えます(3.11前の作品ではありますが)。

「水俣病だって当初、隠ぺいされた」とかいうセリフもありましたし。


ウイルスと、放射能(放射性物質、放射性汚染物質)と、物は違えど、

置かれている状況や、

実際に起きていること、

究極的にそうなりそうなシチュエーションが

今の日本に重なる部分がたくさんある、ということを

はからずも、かみしめながら観ることになりました。


スティーヴン・ソダーバーグ監督のもとへ集まった
キャストがとにかくすごい。


とまあ、ただならぬ感染パニックサスペンスではあるのですが、

何といっても主要キャストが全員アカデミー賞クラスという豪華さも
1つの魅力になっています。


以下、ほぼ登場順。


1)グウィネス・パルトロウ:1人目の感染者となるキャリアウーマン、ベス。
冒頭、香港にいる彼女のシーンがなぜか“Day2”(2日目)から始まっているのが気になります。


2)マット・デイモン:ベスの夫、ミッチ。突然の妻(と義理の息子)の発症と死に直面するも、
なぜか彼は発症していません。娘だけは何としても感染から守るべく、超過干渉なパパに大変身。


3)ジュード・ロウ:フリージャーナリスト、アラン。
ミネソタ、香港、そして東京で同じような症状の人たちが
相次いで急死していることから「何かが起きている」と直感。

ブログにアップした、バスの中で突然倒れる東京のビジネスマンの映像にアクセスが集中、
やがて1200万人もの読者を持つ、時の人になります。とても今っぽいですね。


4)マリオン・コティヤール:報告を受け、調査に乗り出す世界保健機構(WHO)職員オランテス。
発生地の香港に向かいますが、ワクチンをいち早く手に入れたい貧しい村の人たちに
拉致されてしまうことに。これが一番びっくりしました。


5)ローレンス・フィッシュバーン:米国疾病対策センター(CDC)のチーヴァー博士。
感染源の特定に奔走します。極秘情報をこっそり恋人に教えてしまうのですが
それがやがて仇となり…。


6)ケイト・ウィンスレット:チーヴァー博士の部下、ミアーズ医師。
ベスの家があるミネソタに向かい、感染が疑われる人たちの隔離を担当します。
このへんの動き、さすがCDCというか、早い、早い。

(この迅速さがフクシマでもあったなら…と思わずにはいられませんでした)

しかし、道半ばで自身も感染してしまうことに。


という豪華な6人を軸に、それぞれ物語が進んでいきます。


チーヴァー博士のもう1人の助手(ジェニファー・イーリー)の活躍も見逃せません。


一番応援したかったのは、ケイト演じるミアーズでしたが

やたら扇動するジャーナリストのジュードもいい感じです。

ローレンス・フィッシュバーン、渋い優しさが、なぜか西田敏之みたいにも見えました。


余談ですが・・・


手遅れになるより、過剰ともいえるぐらいの対応を!


ワクチン接種済み、あるいは免疫がある人は
遊園地プールの入場で使うようなリストバンドで管理をしていました。

何とも合理的なシステムです。


この映画を観ると、危機管理という点で

日本は大丈夫か!?と思わずにはいられません。


かつての新型インフルエンザでも、空港で検疫パフォーマンスしていたでしょう。

実質的にはまったく水際対策にはなっていませんでした。

今で言うと、例えば除染は、あの感じに近いものがあると思います。

「除染」という言葉とパフォーマンスで安心を期待させている。

「暫定規制値」も同様ですが、とても罪深き言葉だと思います。


学生時代の、映画『タワーリング・インフェルノ』に見るパニックと集団心理、
という講義が懐かしく思い出されました。

↓2/16発売。今はパッケージ化が早いですね。

↓そういえば、檀れいもWHOの人だった…。

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