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2011年12月26日 (月)

【番外編】『家政婦のミタ』にみた現代家族の形とグリーフワーク

『家政婦のミタ』



いや〜終わりましたね〜。
最終回、視聴率40%という数字を残して。。。

久々に、日本のドラマにハマリました。わが家では「ガリレオ」以来の盛り上がりでした。

26日の東京新聞朝刊でも、日芸の教授が記事を書かれていましたが、
さまざまな方が、いろいろなところで、なぜここまでウケたかを分析されています。

私がミタさんをミタのは2話目からだったのですが、
そこでの話は後で述べるとして、

ミタさんを観ながら自分なりに思ったことを書いておきたいと思います。


旧家族というものの崩壊


まず、ミタさんが家政婦としておもむく阿須田家。
子どもが4人もいるのに、お父さん・恵一(長谷川博己)が本当ダメダメですよね。
まるでもう1人の子どものよう、
大人になり切れてないアダルトチルドレン。

「ぼくは父親になる資格なんかない」「子どもたちの愛し方がわからない」なんて言ってのける。。。


もしかしたら、お母さんもまた、そんな男を好きになり、
「もう私がいないとだめなんだから」という典型的パターンで
結婚生活が何とか続いていたのかもしれません。
だからもう、捨てられたら死ぬしかない、という究極的思考になってしまったのかも。

それでも、このお母さんが一家の実際的、精神的柱であったのは間違いないでしょう。


子どもたちは、てんで、ばらばら。

長女・結(忽那汐里)は、大人ぶりたいお年頃。家族よりも、まず自分。
家事もまったくしていないですね。
お姉さんらしいこと、何もしてこなかったと、自分で認めています。

長男・翔(中川大志)は、しっかりしてるようでいて、どこか悶々とした中学生の甘えや危うさもあり

次男・海斗(綾部守人)は、そんな上2人を小ばかにする感じの小学生。
頭はいいんだろうけど、お母さんのこともあり、学校でいじめられてしまいます。


みんな結局、自分が一番大事。

だから、かわいそうなのは次女の希衣(本田望結)ちゃん、なのかもしれません。
かわいい年頃なのに、←ちょっとわがままが過ぎるとこもあるけど
現実にお母さんを、そして、
家を出て行ったことでお父さんをも一時的に失ってしまいます。


そんな阿須田家にやってきたミタさんこと、三田灯(松嶋菜々子)。


そんな子どもたちなので、何でもミタさんに頼ってしまいます。

ミタさんの「承知しました」「それはあなたが決めることです」で
いろいろ、いろいろ、
1〜8話にかけて事件が起こっていくわけですが。。。

例えば、ミタさんの破天荒な「承知しました」によって、
第1話にして、
無事?子どもたちは、亡き母への思いを吐露することができます。

一番大きな子ども、お父さんを除いてですけれど。


「それはあなたが決めることです」というのは、本当にそのとおりで、
そんなこと、家政婦に聞いてんじゃないよ、って思うようなことばかり。

お父さんも、あるいは、近しいはずのおじいちゃんも、叔母のうららちゃんも、
子どもたちにちゃんと答えをくれる
そういう存在の大人じゃなかったっていうことなのでしょうか。

そもそも、大人っていたんでしょうか、この家族に。


そう、阿須田家には、
元校長先生で、おそらく剣道の有段者、がんこおやじの
おじいちゃん(平泉成)の存在もあるのですが、

最初は、ガミガミどなり散らしてばかりだったのに、
途中から、ミタさんによって「〜〜なり」と話す、キテレツ大百科のコロ助言葉の
気のいいおじいちゃんに変えられてしまいました。

旧来の家族に当たり前だった、
波平的、象徴的がんこおやじは、消滅しました。

がんこおやじは、筋の通ったこと、まっとうなことを
自分の価値観の中だけで言うのですけれど、
間違った伝え方をフォローする、舟さん的人物がいないから、

どこか冷めていて、自分の価値観の範疇でしか考えられない、
しかも母親を失ったばかりの、
現代っ子たちには響いていかないのです。

おじいちゃんもまた、配偶者や娘を失った責任を感じ、自信やアイデンティティーをも
失ってしまっていたのかもしれません。


響かないといえば、
お母さんの妹でもある、相武紗季演じるうららちゃん。

やること、なすことが裏目、裏目に出て、とにかく引っかき回してしまう人。

ドラマを見ながら、どうもイマイチ、うららちゃんの
存在意義がよく分からなかったのですが、

最終回になってようやく分かりました。


第9話で結が言っていましたが、
子どもたちは
“絆”みたいなものがミタさんとの間にできた、と
だから、それを離したくない、と考えるように変わってきていました。


だけど、
ミタさんは、あくまでも家政婦。あくまでも他人。

最終回には、子どもたちの叔母であるあなたが、この家を守りなさい、というミタさんの、
かなり回りくどいメッセージがあったのでした。

今までも、うららとしてはあの家を守ってきたつもりだったのかもしれませんが、
やっぱり彼女も伝え方がまずかったのだと。

媚びたり、気を遣ったりしなくてもいいんだと。

これからは、あなたがあの家族の思いを受け止めてあげて、
笑い、怒り、泣き、喜び、
共にいてあげて。というミタさんの願いが、

平手の形になって、うららのほっぺに翌日まで残っていましたね。


阿須田家も傷だらけ、ミタさんも傷だらけ


第8話、
ミタさんが感情をあそこまで押し殺すようになった衝撃の過去を語り始めてから、
確信したことがあります。


大切な人を亡くした深い悲しみ、悲嘆と向き合い、喪失感や、苦痛や、環境の変化を
受け止めるプロセスのことをグリーフワーク、

それを手助けすることをグリーフケアといいますが、


『家政婦のミタ』は

傷だらけの阿須田家と、ミタさんとがお互いにグリーフケアをし合っているんだと、

グリーフワーク、グリーフケアのドラマなんだと。

そう、思ったんです。

第2話で、次男の海斗が、自分をいじめてた子に言うんです。

「なんで、いじめなんかするんだよ!?」
「なんで、クラスのやつ傷つけるんだよ!?」
「相手が死んじゃったら、どうするんだよ!?」
「いくら後悔しても、もう何もできないんだぞ!」
「人が死ぬって、マジ大変なことなんだぞ、訳分かんなくて、悲しくて、つらくて
嫌な気持ちがずっと残るんだからな!」

(正確ではないと思います、すみません)


この言葉、重かったぁ…。

だーっと涙が出ました。


でも、第2話のこのセリフにして、このドラマの本質があったんですよね。

ミタさんもその気持ち、よく分かっていると思うから、

最後までミタ後だと、余計にきますよ、ここ。


厳密にいえば、喪失の傷というのは、すっかり癒えたりすることは決してないですし、

ニコール・キッドマン主演の映画『ラビット・ホール』でもあったように、

小石のような大きさになるまで、時間がかかりながらも、

それを一生、抱えて生きていくしかないんです。

ミタさんが言うように、一生、十字架を背負って、

自責の念と後悔を胸に抱えながら、

“それでも、生きていくん”ですよ。

あれ、確かそんな名前のドラマもありましたね、今年。

指を切ったら、血が出るように

あなたは生きているのだから、

笑ってください、

自分の意思で動いてください、恵一はそう言います。


ミタさんは顔の筋肉を引きつらせながら、最初は口角をただ上げてみせるだけですが

無理矢理に笑顔をつくろうとします。

そのうちに、笑顔らしく見えてきて、

涙に濡れながらも、微笑みが少しずつ広がっていきます。

やっとの笑顔で、「承知しました」と応えていきます。


こうしたミタさんが笑ったところ、

最後に、嘘くさい偽善ドラマに成り下がらなくてよかった、

よい終わり方だったと私は思いました。


今年は特に、
突然にして、大切な人を失った方が大勢います。

同じように自責の念や、後悔や、無力感をいまだ抱えている方たちも大勢いるかと思います。

「がんばれ」という言葉は、ただ苦しめるだけかもしれない。

「前を向いて」なんて、とても思えないかもしれない。

でも、ミタさんと阿須田家のように、自らの喪失の苦しみ、痛みと向き合うことができて初めて

他人をすくうことができるのかもしれない、と思ってやみません。

自らの苦しみ、痛みと向き合うところに、同じような境遇のだれかを
すくえる可能性があると、私は信じたいのです。


↓とても読みたい、阿須田家以前のミタさん。


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Healing & Holistic 映画生活


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