だれでも『私だけのハッピー・エンディング』を!
★★★★
30歳のキャリア・ウーマンが
がんを通じて見つけた
“私らしい人生”=“私らしいハッピー・エンディング”
父と母は離婚し、父とは疎遠、母との関係もうまくいっていない。
そんな両親に反発して、どこか突っ張って、
自分はそうはならないと、誰も本気で好きにならないって、
仕事をがんばって、
友達とただ楽しんで生きていくの、私。
そんな感じの、広告代理店に勤める
キャリアウーマン、マーリー(ケイト・ハドソン)。
正直いって、最初はあまり好きになれないタイプ。
かわいいんですけどね。
しかし、ある日の検診で、
彼女は、かなり進行した大腸がんであることが分かります。
主治医のジュリアン(ガエル・ガルシア・ベルナル!)から
余命半年と告げられてしまうのですが……。
いつものように、軽いノリでみんなに報告し、
何事もなかったかのように過ごそうとするマーリーですが、
周りの人はそうはいきません。
どう接していいか分からない。
目の前の事実を受け止められない。
友達はハレモノに触るようにマーリーに接し、中には距離を置くようになる友達も。
母・ヴェバリー(キャシー・ベイツ)はただオドオドするばかり
父も、どう接していいか分からず、どうもピントがずれた感じの対応。
周りの気遣いにマーリーはイライラしてしまい、八つ当たりしてばかり。
ただ、医師のジュリアンだけが、そんなマーリーを静かに受け止めてくれていました。
そして、
あるとき、気を失ったマーリーは、
○○で、□の、ウーピー・ゴールドバーグに出会い、
ジュリアンへの本気の想いを確信するのです…。
紆余曲折ありますが、
最後には、全部まとまります。
悲しいことは悲しいし、お別れだけれど、大団円になります。
視界は雨模様ですが、気分は不思議と湿っぽくはなりません。
あんなふうなだといいな、私も。逝くときには。
そんなふうに思いました。
昨年の公開作で、同じように
若年性がんをテーマにした映画で『50/50 フィフティ・フィフティ』が
ありますが、
両者に共通していえることは、
がんになって、改めて気づかされたこと
がんになったからこそ、出会えたもの について描かれていることです。
これは、“がん”がくれた贈り物ということで
「キャンサーギフト」と呼ばれています。
今や2人に1人がかかる、がん。
夫婦やカップルのどちらかがそうであってもおかしくありません。
マーリーの場合は残念ながら進行が早い、たちの悪いがんだったのかもしれませんが
『50/50』の脚本家、ウィル・レーサーのようなサバイバーや
がんを抱えながらも、生きている人たちはたくさんいます。
がん哲学外来で知られる樋野興夫先生によれば、
今やがんになっても、およそ半分の人は、
「がんになっても、がんでは死なない」という
完治まではいかなくても、共存しながら生きていくことができる時代になってきている、と。
そんな、がん共存時代において
キャンサーギフトは、
1つの大きな支えというか、希望というか、生きがいになり得るもの
なんじゃないかと思うのです。
また、本作品は、大腸がんの啓発に一役買うことになったそうで、
興行収入の1部は、大腸がん疾患啓発「ブルーリボンキャンペーン」の
啓発グッズ(トイレットペーパーなど) の制作にあてられることになっています。
詳しくは、こちら。
泣かされるために、観に行くんじゃなくて、
がんを考えるために、観に行く。
そんな映画が、これからも増えてくれればいいですね。
・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy
・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。
よければFacebookページにも「いいね!」をお願いしますm(_ _)m。
Healing & Holistic 映画生活
« 『うまれる』で出会うファンタジー | トップページ | 【番外編】『家政婦のミタ』にみた現代家族の形とグリーフワーク »
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: だれでも『私だけのハッピー・エンディング』を!:
» 映画「私だけのハッピー・エンディング」それぞれのハッピーエンディング [soramove]
「私だけのハッピー・エンディング」★★★☆
ケイト・ハドソン、ガエル・ガルシア・ベルナル、
キャシー・ベイツ、ウーピー・ゴールドバーグ出演
ニコール・カッセル監督、
107分、 2011年12月17日公開
2011,アメリカ,ファントム・フィルム
(原題:A LITTLE BIT OF HEAVEN )
人気ブログランキングへ">>→ ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りた... [続きを読む]
» 私だけのハッピー・エンディング [風に吹かれて]
そばにいてくれてありがとう公式サイト http://happyending-movie.com広告代理店に勤める30歳のキャリアウーマンのマーリー(ケイト・ハドソン)は、恋に仕事に順調な日々を過ごして [続きを読む]
» 私だけのハッピー・エンディング [映画的・絵画的・音楽的]
『私だけのハッピー・エンディング』を吉祥寺バウスシアターで見ました。
(1)これは、前に見た『50/50』の女性版といったらいいでしょうか、大層元気溌剌で明るい性格の30歳の女性マーリー(ケイト・ハドソン)が、検診で、大腸ガンを患っていて、それも余命半年であ...... [続きを読む]
» 私だけのハッピー・エンディング [C’est joli〜ここちいい毎日を♪〜]
私だけのハッピー・エンディング
11:米
◆原題:A LITTLE BIT OF HEAVEN
◆監督:ニコール・カッセル
◆出演:ケイト・ハドソン、ガエル・ガルシア・ベルナル、ローズマリー・デウィット、ルーシー・パンチ、ロマニー・マルコ、トリート・ウィリアムズ、ウーピー・ゴール...... [続きを読む]
« 『うまれる』で出会うファンタジー | トップページ | 【番外編】『家政婦のミタ』にみた現代家族の形とグリーフワーク »
コメント