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2011年12月28日 (水)

『サラの鍵』時を越えて、つながる2人の女性

Photo


サラの鍵


★★★★★

銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー


過去ー現在ー未来、遠い昔のようでいて
つながっている、このいのち

観たのは12月に入ってからの試写会でしたが、

今年最後に、たいへん心を持っていかれた映画となりました。

『ブラック・スワン』みたいな、圧倒的な強烈な持っていかれ方ではなくて、

じわじわ、じんじん、しんしん、という具合でしょうか。


1942年のパリ。
『黄色い星の子供たち』という映画を観るまで知らなかった

悲しい出来事がありました。

ナチスの顔色をうかがうフランス政府は、自ら
フランスに住むユダヤ人たちを一斉に、強制的に検挙したのでした。

通称、“ヴェルディヴ事件”。


夜中に鳴り響くドアの音、
弟とはしゃいでいたサラ(メリュジーヌ・マヤンヌ)は、

ただ事ではないと、
とっさの判断で、弟を納戸の中に隠します。

その鍵を握りしめて連行されるサラと、パパとママ。

すぐに戻れるはずと信じて。


『黄色い星の子供たち』を見たばかりだったので、

それからのヴェルディヴ(冬季競輪場)の内部や

強制収容所のくだりは、知ってはいても胸が苦しくなりました。


でも、苦しくて、つらくて、悲しいだけじゃないのが、

この映画のすばらしいところなんですけど。。。

<ちょっとネタバレしています>


一方で描かれる、現代のパリに住むアメリカ人のジュリア(クリスティン・スコット・トーマス。
TV放映された『M:I』観ていたら、すぐにやられちゃうスパイでしたけど、)の話


夫と娘と住むはずだったアパートに、
かつて、サラの家族が住んでいたことを知ります。

以来、サラの人生を巡り、真実を知ろうとするジュリア。


ヴェルディヴ事件のことを知って、
ホロコースト記念館にも出向き、衝撃を受けます。(そして、私も)

くしくも、45歳にして妊娠が分かったジュリア。

彼女の人生そのものも変容していくことになるのです。

この現代のジュリアの物語と、過去のサラの物語の織り交ぜかた、
とても自然で、絶妙でした。監督の手腕なのでしょうかね。すばらしい。

混乱せず、それぞれの物語に没頭して観ることができました。


そして、思います。

この2つの物語は、この2人の女性は、いったい、どこで交わるのだろう。


ラストに向かって期待が膨らんでいくのですが、
その手前にある衝撃…。

あの瞬間は、今年100本以上観た中でも、最も緊迫して、ハラハラした
瞬間だったかもしれません。

サラの人生っていったい、何だったのでしょう…。

彼女は毎日、何を考えて生きていたんでしょう…。

父や母や、多くの人たちが亡くなったことは、彼女はいつ知ったんでしょう…。

自分を責め続けた20数年間の人生。


今、ヴェルディヴがあったところには、フランス内務省の建物が建っているそうです。
そこには「道行く人よ、忘れるな!」と記された碑もあるとか。


サラに思いを馳せるジュリアは、新たないのちを育てることを決意します。

何とも皮肉なものですが
人類史上から見ても、とても悲しい、むごい出来事があったとしても、
その中を生き抜いてきた人たちがいて、今があるんだと思わされます。

確かに、深い悲しみの記憶は残りますけれども、
おいおいと泣く“あの人”と一緒に、私も涙しましたけれども、

観終わった後には、何だか不思議な温かさが心に残りました。

サラ役のメリジューヌ・マヤンスは、あの齢にして本格女優だわ…うん。


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↓全世界300万部のベストセラーの原作、長編ですが、ぜひ読みたいです

↓こちらのほうが、より史実に基づいているかもしれません。
メラニー・ロランが演じた看護師も証言しているそう。

サラの鍵@ぴあ映画生活

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コメント

rose_chocolatさん、こちらこそいつもありがとうございます。

>幾層にも深く考察が可能で、しかも今の私たちも共感できる映画でした。

本当ですね!こんなにも心に響く映画を、この年に観ることができてよかったと思います。
また来年もよろしくお願いします!

こんばんは! Twitterではお世話になってます (*^_^*)
ブログお持ちだったんですね。 またお邪魔させていただきます。

メリュシーヌ・マイヤンスちゃんは名演技です。 これからが楽しみです。
幾層にも深く考察が可能で、しかも今の私たちも共感できる映画でした。

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