愛はあとからついてきた『ラブ&ドラッグ』
★★★★
近ごろはやりのロマンティックコメディながら
いろいろと考えさせられます
アン・ハサウェイとジェイク・ギレンホールの共演。
文句なしの美男美女、『ブロークバック・マウンテン』でも夫婦役で
共演していた2人が
また、息の合ったすてきなカップルぶりと、脱ぎっぷり(!)で演じています。
『涙と笑いの奮闘記──全米セールスNo.1に輝いた"バイアグラ"セールスマン』
(著ジェイミー・レイディ)が原作であり、
LOVEの前にMAKE LOVEという、近ごろよくある(?)タイプの作品かと思いきや、
意外にもシリアスなテーマを含んだ、なかなかいい映画でありました。
最初は「ワハハ」と笑いながら観ていたんですが、ラストにはホロリ。
いい意味で裏切られました。
アン演じるマギーは、若きパーキンソン病のアーティスト、
ジェイク演じるジェイミーは、医学部を中退したファイザー製薬のセールスマン。
ジェイミーが抗うつ薬を売り込みに行った病院で偶然出会ったことから
2人はセックスフレンドになります。
ここまでの展開は、
ナタリー・ポートマン&アシュトン・カッチャーの『抱きたいカンケイ』や
ジャスティン・ティンバーレイク&ミラ・クニスの『ステイ・フレンズ』のよう。
しかし、だんだん2人の関係はそれ以上のものとなり、
マギーの病気は少しずつ悪化していって……。
マギーはすごく刹那的なんですよね。
今までもずっと、病気を抱えるゆえに
誰かと深い関係になることを避けてきたんだろうと思います。
彼女の親については、セリフでしか出てきませんでしたが、
1人でずっと暮らしてきたようなところを見ると、
おそらく見放されたのか、それとも迷惑をかけたくなくて彼女のほうから出てきたのか。
一生付き合っていかなくてはならない、
これからずっと悪化していく病気を抱えて
いいようのない不安と隣合わせに暮らしてきたはずと思いますが、
そんなときに、ジェイミーと出会ってしまったんですね。
手の震えを懸命に隠そうとするマギーの姿は、見ていて、大変つらいものでした(ρ_;)。
「その覚悟は本物か?」と、私もスクリーンの中のジェイミーに
思わず問いたくなりました…。
映画に出ていたパーキンソン病の患者会の人たちは
実際の患者の皆さん。
こういう自らの声を発することができる場って、大切だと思います。
日本でも患者会や家族会など、たくさんできてきてはいますが、
やはりこうした活動に何らかの形で応援ができたらいいな、と
いつも思ってしまいます…。
また、
彼女の病気と2人の関係以外にも、
教育や家族、生き方に関するテーマを含んでもいました。
この映画を一緒に観た友人は学校の先生でしたので、
特にジェイミーの少年時代について、ひとしきり語り合いました。
医者一家の長男ながら、医学部中退のわけ…。(弟も医者ではなかったですけど)
のっけから、何か落ち着きないな、この人〜。
プレイボーイの、チャラ男の営業マンっていう役どころだから、
わざと、早口で、おしゃべりで、がちゃがちゃとさせてんのかなあ
と思っていたのですが、
実は、彼はADHD(Attention Deficit / Hyperactivity Disorderの略、
:注意欠陥・ 多動性障害、字幕では「多動症」)だったんですね。
彼自身も8歳からずっとリタリンという薬を飲んできたんです。
親にどこか失望されながら、まるごとの自分を認めてもらえないまま、
マギーがずっと薬を飲みながら生きてきたように、
彼もまた、薬との付き合いの長い人生を送ってきたんですよね。
このあたりも、2人を結びつけた1つの要因だったのかもしれません。
あと、薬代の安いカナダまで、お年寄りと集団でバスに乗って薬を買いに行くところなんか、
アメリカの医療事情の一端を映し出していました…。
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