『J・エドガー』老いて、なお孤独です。
★★★★
公人としてではなくプライベートな
FBI長官の裏の1面が描かれる
先日、行われた今年度アカデミー賞に、『マネーボール』でブラッド・ピットと、
『ファミリー・ツリー』(近日アップします、これは最高!)でジョージ・クルーニーが
主演男優賞にノミネート。
なのに、この人の名前がノミネーションになくて、ちょっぴりがっかりしたのも事実です。
レオナルド・ディカプリオ。
アイドルを脱するべく、大人になってからは
巨匠のスコセッシ監督やリドリー・スコット監督
、クリストファー・ノーラン監督
とかと
ちょっとアクの強い仕事をして、
今に至る。
でも、私は好きです。『ギルバート・グレイプ』のころから、
『太陽と月に背いて』のころから。
そんなディカプリオに4割方、老けメイクをさせながら、
クリント・イーストウッドが描きたかったことは、
権力と、老いと、孤独
なのかもと思っています。
何だか、マーガレット・サッチャーとも重なる部分があったりもしますが。
人を最後まで信じ切ることができなければ、
権力のトップにいようが、ぺーぺーだろうが、結局、1人ぼっちってことなのでしょうか。
アーミー・ハマー演じる、公私を共にした側近クライド・トルソンの愛は健気すぎるくらいなのに。
ナオミ・ワッツ演じる秘書のミス・ガンディも最後まで献身的だったのに。
ママ(ジュディ・デンチ)との関係は、
母-娘の『ブラック・スワン』よりも、背筋の寒いものを感じます。
このJ・エドガー・フーバー、
若い時から、落ち着きがなく、いつも部屋をウロウロ。
図書館の本のラベル分けや、犯罪者のラベル分けもお見事。
偏執的ともいえる傾向。完ぺき主義者。
家の中でだけ吃音もあり。
虚言癖もあり。
自らの老いすらも認めようとしない、頑固で狂信的な性格。
引退を促すクライドの言葉に怒る姿が、余計に哀れに見えます。
なんだか、レオが大富豪ハワード・ヒューズを演じた
『アビエイター』を思い起こさせますね、なんだか、ですが。
『アビエイター』のラストで、強迫神経症が進んだために、
印象的に繰り返されるセリフ「The way of the future」
J・エドガーの場合は、未来のためならぬ
The way of the nationのための
The way of the justiceとでもいいますか。
国民や国家を守るために武器を取って、何が悪い。
国民や国家の安全を脅かしそうな犯罪者のデータを集めて、何が悪い。
とでもいいたげな、
作られた正義というか、はったりと虚構の中の正義とでもいうか。
マイケル・ムーアの『『ボウリング・フォー・コロンバイン』で観たような、
“恐れ”から始まる、銃による強迫的ともいえる自己防衛観念は、
もしや、彼が始まりだったのかもしれません。
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