twitter

uereiのおすすめ

フォト

インターネット募金

« 『アーティスト』栄枯盛衰が人生さ。 | トップページ | 生きた証(あかし)を『希望のちから』に »

2012年4月21日 (土)

『わが母の記』にて、わが身を知る。

Photo

わが母の記

★★★★

4月28日(土)より全国ロードショー

2012春・縁(えん)をつなぐシリーズ第1弾

これから5月中旬ごろまでの間に、全5本ご紹介していきたいと思います。
まずは、もっともやっかいで濃い縁(えん)である、血縁=家族のお話から。

恍惚の人となった母の
海のような深い愛を知るとき

井上靖の自伝的小説「わが母の記〜花の下・月の光・雪の面〜」を映画化。

第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞し、
その後も世界各国の映画祭に出品され、
公開前から海外で高い評価を受けている作品です。

ゴールデンウィーク必見の家族映画として、絶賛公開中です。

井上靖の分身、主人公の洪作を演じるのは、役所広司さん、
その母・八重に樹木希林さん、
洪作の三女・琴子には宮﨑あおいさん。

豪華キャスト共演ですが、なかでも圧巻なのは、何といっても樹木希林さんでしょう。

先日、日本外国特派員協会の記者会見での、アカデミー賞外国語映画賞についてのしゃれたコメントも話題になっていましたが

相変わらずうまい。
ご自身でも「認知症の方の役を演じられるのは自分しかいない」、
ぐらいの勢いでお話されているのもよくわかります。

ところで、この映画、
どこか、こそばゆくなるような感じがするのは、なぜなのでしょうか。

冒頭の、洪作と2人の妹(キムラ緑子、南果歩)の会話からしても、
早口なおしゃべりがさわがしく、そしておもしろく

昔、実家に何かと集まっていた大叔母たちの様子を思い出します。

はじまりからして、すでに懐かしいのです。

3世代の大家族、親と子のわだかまり、進む親の認知症。

わさび田や里山の風景もあいまって、
自分にとっての原風景に、あっという間に誘われることになりました。

<若干、ネタバレあります。>

洪作のトラウマには、根深いものがありました。

子ども時代、一家がそろって台湾へ行くという大決断をするなか、
たった1人、それも祖父の妾の家という微妙なところに預けられた洪作は、

ずっと「母に捨てられた」と思い続けてきました。

しかし今、惚けて、息子のことも孫のことも分からなくなってしまった母、八重。

八重を演じる希林さんのとぼけた演技は

絶妙で、時にコミカルでさえあるので思わず笑ってしまうのですが、

いやいや、ここは笑うとこじゃないでしょう、と1人ツッコミ。

笑ってしまってから、そのつど、ハッとさせられてしまいます。

今では、洪作は比較的裕福な売れっ子作家となり、
妹たちも、割と自由が利く暮らしをしています。

3人の娘に、お手伝いさんも、おかかえの運転手もいます。

当時、介護保険も、デイサービスも、訪問看護もなかった時代ですが

ここに出てくるのは、まさに昭和の大家族。

それぞれが、それぞれを頼り、役割を期待し、けん制し合いながら、
できることをして支え合い、それぞれを補い合っています。

紆余曲折あって

最後には、洪作の妹が住む、長年暮らした伊豆・湯ヶ島の家へと戻っていく母。

この映画では

認知症の方が、例えば徘徊したり、何度も同じことをくり返し言ったりするのは

そのような言動をするからには、

何か引っかかっている気持ちがあって、

何らかの理由があってそうしていると、あらためて気づかされると同時に

ご本人の引っかかっている気持ちをくみ取ってやろうとする、

家族の思いを真摯に感じることもできます。

また、洪作!
最後の最後に、妹にあんなふうに声をかけれるなんて、すごいですね、尊敬です。

私だったら言えないかも。

この平成の世は、洪作や八重が暮らした状況とまったく違いますが、

あんなふうに気持ちをくみ取ってやりたいと思いました。できうる限り。

今、電車の移動時に有吉佐和子の「恍惚の人」を読んでいます。
もう40年も前の話なのに、普遍的なリアルさを感じています。

時代が変わっても、変わらないものもあるのですよね。

↓「婿どの」が一足先にアカデミー賞受賞…ですが…
『おくりびと』

↓森繁久彌と高峰秀子の熱演。秀逸。
『恍惚の人』

↓こちらは血縁プラス「地縁」(地域の縁)が熱い。
『オカンの嫁入り』

わが母の記@ぴあ映画生活

・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy twilog
・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。
よければFacebookページにも「いいね!」をお願いしますm(_ _)m
Healing & Holistic 映画生活

にほんブログ村 映画ブログへ

にほんブログ村 健康ブログ ホリスティック医療へ

« 『アーティスト』栄枯盛衰が人生さ。 | トップページ | 生きた証(あかし)を『希望のちから』に »

コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『わが母の記』にて、わが身を知る。:

» わが母の記 [LOVE Cinemas 調布]
井上靖が自らの家族との絆を元に書いた同名の自叙伝的小説を映画化。とある小説家が老いて記憶を失ってゆく自らの母親との関わりを中心に、その家族の姿を映し出している。主人公の小説家を『きつつきと雨』の役所広司、その母に『悪人』の樹木希林、小説家の娘を宮崎あおいが演じる。共演には南果歩、キムラ緑子、三國連太郎といった演技派が揃った。監督は『クライマーズ・ハイ』の原田眞人。... [続きを読む]

» わが母の記 [うろうろ日記]
試写会で観ました。 【予告orチラシの印象】井上靖さんの自伝で、ぼけたお母さんの [続きを読む]

» 『わが母の記』 (2012) / 日本 [Nice One!! @goo]
原作: 井上靖 監督: 原田眞人 出演: 役所広司 、樹木希林 、宮崎あおい 、三國連太郎 、南果歩 試写会場: よみうりホール [ 2012年4月28日公開 ]  公式サイトはこちら。 トーキョー女子映画部さんからのご招待です。 ありがとうございました! これ公...... [続きを読む]

» わが母の記 [花ごよみ]
井上靖が家族の実話を元として書き上げた 自伝的小説「わが母の記」三部作が原作。 試写会で見ました。 監督、脚本は原田眞人監督。 主人公の小説家、伊上洪作には役所広司、 母、八重には樹木希林、 小説家の娘に宮崎あおい。 三國連太郎、南果歩、キムラ緑子、ミム...... [続きを読む]

» わが母の記 [とりあえず、コメントです]
井上靖著の自伝的小説「わが母の記」を役所広司さん主演で映画化した家族のドラマです。 役所広司さんと樹木希林さんが一緒にいる予告編を観た時から、観たいなと思っていました。 予想以上に美しい風景とじっくりと描かれる人間関係、そして素晴らしい演技に 最初から最後まで魅せられてしまうような作品でした。 ... [続きを読む]

» 『わが母の記』 [・*・ etoile ・*・]
'12.02.07 『わが母の記』(試写会)@よみうりホール yaplogで当選。いつもありがとうございます。役者さんが豪華だったので見たかった作品。 *ネタバレありです! 「父の葬儀を終えた作家の伊上洪作は、母の異変に気づく・・・ 長女夫妻と実家で暮らす母は、少しずつ認知症の症状が進行していく。時々、東京の自宅や軽井沢の別荘に母を引き取るようになる。伊上には幼い頃から抱えていた母への思いがあった・・・」という話。これは良かった。よく考えるとツッコミどころがないわけではない。でも、いわゆる感動... [続きを読む]

» 映画「わが母の記」感想 [タナウツネット雑記ブログ]
映画「わが母の記」観に行ってきました。 作家・井上靖の同名小説を原作に役所広司・樹木希林・宮崎あおいが主演を演じる、高度成長期の古き良き昭和の時代を舞台とした人間ドラマ作品。 今作は本来、2012年4月28日公開予定の映画なのですが、今回もたまたま試写会に当選することとなり、公開予定日に先行しての観... [続きを読む]

» わが母の記 [pure\s movie review]
2011年 日本作品 118分 松竹配給STAFF監督・脚本:原田眞人原作:井上靖CAST役所広司 樹木希林 宮崎あおい試写会で観て来ました。意外と試写会って当選するもんですね。学生時代はよく行ってたけど、社会人になってからはなかなか行けなかった。今は専業主婦になったの...... [続きを読む]

» 『わが母の記』 これは松竹らしいホームドラマではない [映画のブログ]
 『わが母の記』は、テレビドラマ『初秋』に先駆けて原田眞人監督・脚本、井上靖原作、役所広司主演で作られた作品だ(公開時期は『初秋』の放映より後)。  この作品の注目すべき点は、まず松竹映画であるこ...... [続きを読む]

» わが母の記 [Akira's VOICE]
絶品でございます。   [続きを読む]

» 『わが母の記』 [こねたみっくす]
良くも悪くも「わが母」の記。それがこの映画の評価の分かれ目。 故・井上靖先生の自叙伝を映画化し、第35回モントリオール国際映画にて特別大賞を受賞したこの作品。違和感なき雰 ... [続きを読む]

» わが母の記 [映画 K'z films 2]
Data 監督 原田眞人 原作 井上靖 出演 役所広司  樹木希林  宮崎あおい  南果歩  キムラ緑子 公開 2012年 4月 [続きを読む]

» わが母の記 [映画とライトノベルな日常自販機]
★★★★★“心地良い自己嫌悪に陥りました”率直に言うと、映画の内容や出演者の演技、人の生活と融合した日本の風景などとても良かったです。 ついつい自分と親、自分と妻や子どもたちなど、自分が家族に対して抱いている感情と重ねあわせてしまい、自己嫌悪を抱いてしまいました。映画の感想というより、自分語りになってしまうかもしれませんがお許し下さいね。 ストーリーは洪作(=役所広司)は母親に対する憎しみと愛情の相反する感情を抱きながら、母親の八重(=樹木希林)に接します。洪作の末娘琴子(=宮崎あおい)はそんな父親... [続きを読む]

» 映画「わが母の記」これが日本のかつての原風景 [soramove]
「わが母の記」★★★★ 役所広司、樹木希林、宮崎あおい、 三國連太郎、南 果歩、キムラ緑子、 ミムラ、菊池亜希子、三浦貴大、真野恵里菜出演 原田眞人監督、 118分、2012年4月28日公開 2012,日本,松竹 (原題:わが母の記~花の下・月の光・雪の面~) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 「随分前から予告が劇場で流れ 前売... [続きを読む]

» 映画「わが母の記」 [FREE TIME]
母の日に、映画「わが母の記」を鑑賞しました。 [続きを読む]

» わが母の記 [映画的・絵画的・音楽的]
 『わが母の記』を吉祥寺バウスシアターで見ました。 (1)本作は、前回取り上げた思想劇とも言うべき『モンスタークラブ』とは対極を成すような作品で、著名な作家とその母との人間的な関係が大層古典的に描き出されます。  観客も、前記の映画で9割近くが学生でしたが...... [続きを読む]

» 『わが母の記』 [ラムの大通り]
----この映画、 ずいぶん前から試写を回していなかった? 「うん。 配給が松竹。 これは『おくりびと』と同じく、勝負に出た作品。 じっくりと、そのよさを伝えていきたいということだろうね」 ----つまり、だれの胸にも響く 感動の作品ってことだね。 「そうなんだけ...... [続きを読む]

» わが母の記 [だらだら無気力ブログ!]
しんみり来る一本で、樹木希林が素晴らしかった。 [続きを読む]

» わが母の記 : 華麗なるホームドラマ [こんな映画観たよ!-あらすじと感想-]
 寒気も峠を過ぎたようですが、寒い日が続いております。こんな日は、オコタに入って映画でも観るのが一番かもしれないですね。では、本日紹介する作品はこちらになります。 【 [続きを読む]

« 『アーティスト』栄枯盛衰が人生さ。 | トップページ | 生きた証(あかし)を『希望のちから』に »

2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

映画リンク

  • 映画.com

ファミリー・ツリー

エンディングノート

無料ブログはココログ