本気と演技を行ったり来たり『マリリン 7日間の恋』
★★★★
今年、没後50年を迎えるマリリンが
かつて、ある青年にだけ見せた本当の姿
ローレンス・オリヴィエが監督・主演する映画『王子と踊り子』の撮影のために
イギリスを訪れたマリリン・モンロー。
慣れない異国の地での撮影、プレッシャー、
演技論の板挟み、
同行した夫アーサー・ミラーとの確執…。
そんななか
若き第3助監督と恋に落ちた7日間を描いています。
マリリン・モンローといえば、
「君だけのやる気スイッチ♪」ならぬ、
ノーマ・ジーンから切り替わる「マリリンスイッチ」なるものがあって、
あまりにもその切り替えの負荷が大きくなってしまったものだから、
心の均衡が崩れてしまった、
という印象を何となく持っていましたが、
この映画は、改めてそれをスクリーンで確認したかのようでした。
華やかな銀幕のスターについて
「僕だけが本当の彼女を知っている」という優越感、独占感は、
純真無垢な青年にとっては、
ものすっごい特別な感情に
なり得てしまうんじゃないかと想像します…
だから、
僕だけが君を守れる、みたいな錯覚(だと思います)に陥ってしまうんですよね〜。
でも、彼女は本気なんかじゃない、と思うんです。
いえ、その一瞬、一瞬は正直で、
彼からの無条件の愛と包容がほしくて
彼のイノセントさに憧れて
向けられたあの無邪気な笑顔は、本物だったかもしれないけれど、
のど元過ぎれば熱さ忘れる、かのような、
もはや、本気と演技、本音と建前のスイッチも、
おかしくなってしまって、容易に切り替わりやすくなって、
自分自身でも混乱してしまっているようにも、私には見えました。
やっぱり、ショービズの世界は怖い〜。
それでも、いったんマリリンスイッチが全開に入ってしまったら、
クライマックスで私たちがすっかり魅了されたような
あの、マリリンになり得てしまう。
賞賛と、憧憬と、嫉妬を一気に引き受けて
まるで、それこそドラッグのように陶酔しているものからは、
マリリン自身も、どこか逃れたいようでいて
逃れたくはなかったのだろうと思います。
そう思うと、彼女はドラッグ、アルコール、恋愛だけでなく、
女優(演じることそのものの)依存症だったのかもしれません。
ミシェル・ウィリアムズ演じるマリリンは、
マリリンにそっくりなりきるというよりも、
ミシェルなりのマリリン像を努力して作ったというか、
「演じる」という意味では、
すばらしい演じ方をしていたんじゃないかなと。
ほかのブロガーさん等も書かれていますが、
Should Win(獲るべき)主演女優賞は彼女だったんじゃないかと。
それは私も同感でした。
実際、ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門では受賞していますし。
(あ〜、でもヴィオラ・デイビスかな…。心情的には)
来日時、「スッキリ!!」に出演されていたのを見ましたが、
ショートカットがとってもキュートで、31歳には見えないし、
故ヒース・レジャーとの娘さんと義援金を集めて福島に寄付したそうなので、
ますますファンになりました。
また、
今、エマといえば、エマ・ストーンか、エマ・ワトソンかというくらいですが!?
ハリポタ以後に、いい作品選びをしてるなと思いました。
彼女、やっぱり頭がいいというか。
ミシェルのマリリンにひたすら圧倒されている彼を
じっとひたむきに待っている、ハーマイオニーとは正反対の、衣装係の彼女。
印象深く残っています。
↓実は恥ずかしながら、『王子と踊り子』は未見なので、
ぜひ近いうちに観てみたいと思います。
↓忘れてました!『ブルーバレンタイン』の夫役ライアン・ゴズリングとは
最初にこれで共演していた〜。
↓いくら大恋愛でも、こんな夫婦にならぬよう心したいものです!?
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----この映画って、
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「うん。
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映画の中、つまり劇中劇での彼女は
本物そっくりの表情、しぐさ。
まあ、これで改めて確認した...... [続きを読む]
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