『アーティスト』栄枯盛衰が人生さ。
★★★★
人は老い、時はすぎゆく
それが世の常、生きることだから仕方ない
言わずと知れた本年度アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞ほか最多5部門受賞作
今年の映画の中で目玉中の目玉、
満を持しての公開ですね。
どうやら、
モノクロサイレント映画という、今のご時世には斬新な設定や
かつての大スターと新進女優とのロマンスという
栄枯盛衰、盛者必衰のことわりがピンとこない(世代なのか?)
「ああ、あのころは良かった」という懐古趣味はイマイチ性に合わない、という方には
あまり評価は高くないようですが、
私は、好きです。
セリフがなく、主人公の感情は表情やしぐさ、音楽で表されていますので
確かに想像力を使わされますよね、否応なしに。
久しぶりにそこを奮発して、映画を観ました。
それに、何といっても、やっぱり
ジャック・ラッセル・テリアのアギーが超最高に可愛いのです!
本当、飼いたくなる…。あぶない、あぶない(* ̄ー ̄*)
ただ、
私にとっての今年のアカデミー賞の裏テーマは
実はまさに、これはピタリ賞、ビンゴなわけなのでした。
また、『ヒューゴの不思議な発明』(近日アップ)とはまた別角度の、
映画創成期への愛も感じました。
映画には、何が必要か。
物語があり、表現力豊かな役者がいれば
派手な演出がなくても、それで成り立つこともできる。
そんなふうに思えます。
現代っ子というのか、
世代だけではないのようにも思いますが、
会話と会話のあいだの間(ま)が苦手で、
絶え間なくおしゃべりを続けたり、LINEやピグで常にチャットしていることが普通な、
字幕で映画を観るのはちょっと苦手な、という場合には
あんまり受け入れられないのかもしれません・・・。
もちろん、そこを狙っては作っていないと思いますけど。
平均年齢62歳、77%が男性というアカデミー会員には
指示されて当然といえば当然。
「年の差婚」という言葉も、なぜか思い出しますw。
老いる、年を経るということは、
それだけ手放すものも多くなるということ。
階段を下りる者もいれば、駆け上がる者もいる。
自分が忘れさられたり、あるいは取り残されているようで
孤独や空虚感、焦りを感じたりもするでしょう。
死生学で知られるアルフォンス・デーケン先生は、
そんなときだからこそ、考え方の方向を変えてみよう、といいます。
今まで自分がどれだけの人たちに支えられて生きてきたのかをあらためて感謝し、
そして、
これからの人生をどう生きていったらいいかを考え、
新しい人生を肯定して、生きていこう、と。
それが、この映画のラストシーンにもよおーく表されているなあと思うのです。
ベタですけど、いまをあるがままを受け止めて、希望を持つことって大事、ですよね。
↓アルフォンス・デーケン先生の本著を思い出しました。
・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy http://twilog.org/uereiy
・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。
Facebookページにも「いいね!」をお願いしますm(_ _)m
Healing & Holistic 映画生活
« 病いも奇蹟もなぜ私に!?『ルルドの泉で』 | トップページ | 『わが母の記』にて、わが身を知る。 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『アーティスト』栄枯盛衰が人生さ。:
» アーティスト/The Artist [LOVE Cinemas 調布]
新しい時代に対応できないサイレント映画のスター俳優と、その彼に見出されトーキー映画のスターへと上り詰める女優、2人のロマンスをモノクロ映像で描いたサイレント映画だ。『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』の監督ミシェル・アザナヴィシウスが脚本と編集も務め、主演の俳優も同作品のジャン・デュジャルダン、ヒロインをベレニス・ベジョが演じている。古きよき映画の時代が偲ばれる作品だ。... [続きを読む]
» 映画レビュー「アーティスト」 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
Artistクチコミを見る◆プチレビュー◆甘く切ないラブストーリー「アーティスト」は、映画愛に満ちた傑作。サイレントを現代に蘇らせた意欲作だ。 【95点】 1927年のハリウッド。 ... [続きを読む]
» [映画『アーティスト』を観た(前編:4コマ漫画)] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭]
☆今年のアカデミー最優秀作品賞ですね。
なかなか面白かったですが、ちょっと淡白かな。
でも、かようなオーソドックスな物語には普遍性が宿っていまして、評価せざるを得ない魅力があります。
京極夏彦は、その、ブ厚いデビュー作『姑獲鳥の夏』を語る中で「こ...... [続きを読む]
» 映画「アーティスト」を観ました。 [みなと横浜みなみ区3丁目]
サイレント映画というのは、テレビでもチャプリンくらいしか多分観たことがない。いや、正確にいえば小学校へあがる前だから、5、6才の頃、祖父に連れられて1度か2度、時代劇ふうなものを観に行ったような記憶が... [続きを読む]
» アーティスト 老兵は去るのみ・・・ということではない! [労組書記長社労士のブログ]
【=16 -1-】 今年初めての試写会鑑賞、今年はちっとも当選しないのだ〜(T^T)(そういえば今年は1度当たってたけど試写会の招待状が当日届いてしまってポストから取り出したときにはすでに上映時間を過ぎていた)
この映画は、第84回アカデミー賞にて作品賞、主演男優賞...... [続きを読む]
» 映画「アーティスト」これぞ、映画だ! アカデミー賞独占も納得の作品 [soramove]
「アーティスト」★★★★★満点!
ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ出演
ミシェル・アザナヴィシウス監督、
101分、2012年4月7日公開
2011,フランス,ギャガ
(原題:The Artist )
人気ブログランキングへ">>→ ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい←
第84回アカデミー賞の作品賞、監督賞、
主演男優賞、脚本賞、音楽賞、撮影賞、衣裳デザイン... [続きを読む]
» アーティスト/ THE ARTIST [我想一個人映画美的女人blog]
ランキングクリックしてね larr;please click
第84回アカデミー賞にて作品賞、主演男優賞、衣装デザイン賞、作曲賞最多5部門受賞
試写にて鑑賞。
監督はミシェル・アザナヴィシウス
サイレント映画時代のスター、ジョージを演じたフランスの俳優...... [続きを読む]
» 映画:アーティスト The Artist ノスタルジーというより 時代の変化に立ち向かう姿が、実に現代的。 [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
噂に上がっているこの映画、実はかなり懐疑的な気分だった。
「いまさら白黒サイレント映画で勝負なんて、恐ろしくノスタルジーなのでは?!」
そんな批判的気分が頭の中を満載だった。
ならば早々に見定めようということで、NY滞在中近くのParis theater に駆け込んだ。...... [続きを読む]
» 映画:アーティスト The Artist(2回め) 演出上のいろいろな「仕掛け」の積み重ねに唸りまくり! [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
1回めは、NY滞在中、近くのParis theater に駆け込んでの鑑賞。
その時の感想は=「ノスタルジーというより 時代の変化に立ち向かう姿が、実に現代的」(2012-02-03)
2回めに足を運ぶことはそうしない私だが(3ヶ月たったとはいえ)
=この特殊なジャンルならでは...... [続きを読む]
» アカデミー賞 5部門獲得の映画「アーティスト」日本版 予告編が、最悪にダメダメな件について(笑) [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
既に、2回この予告編を観ているが、なぜか「とても嫌い」(笑)
一度観た時に「なぜだろう!」と感じた理由を検証するつもりで、2度めに向かいあった瞬間に即そういうモードに切り替えた。
にもかかわらず、不快感が先に立ちすぎて結局、判断できず!
当ブログでは...... [続きを読む]
» アーティスト/さよならサイレント [映画感想 * FRAGILE]
アーティストThe Artist/監督:ミシェル・アザナヴィシウス/2011年/フランス
表現方法としてのサイレント映画と、その最期。
サイレント時代のスターがおちぶれてさあ大変、ていう映画だとやはり「サンセット大通り」ですね、これと「ヴァレンティノ」が好きです、というかこの2本しか見たことがないだけなんですけれどもね。「アーティスト」はサイレントのスターがサイレントからトーキーに移り変わったタイミングでうまく乗っかれなくて落ちぶれるって話だと聞いたもので、押さえておかねばなるまいと思いまし... [続きを読む]
» 「アーティスト」感想 [新・狂人ブログ~暁は燃えているか!~]
「OSS 117 私を愛したカフェオーレ」のミシェル・アザナヴィシウス監督、ジャン・デュジャルダン&ベレニス・ベジョ主演。1920年代のハリウッドを舞台に、世間から忘れ去られた無声映画のスター男優と、トーキー映画時代のスター女優の深い愛情を描く、ロマンチックラブス... [続きを読む]
» 『アーティスト』の画期的なところは何か? [映画のブログ]
こんな映画を観たかった!
映画は、技術の進展とともに様々な要素を付け加えていった。トーキー(音声)もカラー(総天然色)も、後から加わった要素である。
けれども現代の映画の作り手たちが、それら...... [続きを読む]
» 今、白黒サイレント映画を! [笑う学生の生活]
13日のことですが、映画「アーティスト」を鑑賞しました。
サイレント映画スター ジョージと新人女優ペピー
時代はトーキーへと移り、ペピーはスターへ
しかし ジョージはサイレントにこだわり続けて・・・
アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞など
5部門受賞した...... [続きを読む]
» [STPBX][★★★★][映画感想]アーティスト [マサオブザデッドのかゆうまシネマ powered by Studio puzzle box]
★★★★ YoutubeにUPした動画「妖怪ポスト」が累計10000ヒットしました。観てくれた人、ありがとう。外国の方からコメントやメッセージ(罵倒)を頂きましたがなんでしょうか。遠く海の向こうからありがとう。「妖怪ポスト」、僕はiPhoneに入れて会う人会う人みんなに見せ... [続きを読む]
» 『アーティスト』お薦め映画 [作曲♪心をこめて作曲します♪]
最新の特撮技術に驚かされていた昨今だが、サイレント映画にもトーキー映画にはない素晴らしい表現力がある。ミシェル・アザナヴィシウス監督のガッツと、ジョージとペピーの映画人生を賭けたラストに拍手喝采! 幸せな気持ちで映画館を後に出来る、That's Entertainment!…... [続きを読む]
» アーティスト THE ARTIST [まてぃの徒然映画+雑記]
今年のアカデミー賞受賞作は、サイレント&モノクロで話題をさらったこの映画でした。
サイレント映画のスター、ジョージ(ジャン・デュジャルダン)が、ちょっとしたアクシデントで彼の大ファンで女優志望のペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。ペピーはエキストラか...... [続きを読む]
» 映画『アーティスト』を観て〜アカデミー賞受賞作品 [kintyres Diary 新館]
12-36.アーティスト■原題:The Artist■製作国・年:フランス、2011年■上映時間:101分■字幕:寺尾次郎■観賞日:5月12日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ
□監督・脚本・編集:ミシェル・アザナヴィシウス◆ジャン・デュジャルダン(ジョージ・ヴァレンティン)◆ベレニ...... [続きを読む]
» 「アーティスト」 映画の進化 [はらやんの映画徒然草]
第84回アカデミー作品賞受賞作品です。 サイレント映画からトーキー映画に移行する [続きを読む]
ojirowashiさん、コメントとTBありがとうございました。
ご共感いただいてとてもうれしいです。
発展の中で否応なしに寿命が延びてしまった「先進国」が抱える、
共通の課題という感じですよね。
内外で評価された『おくりびと』もいい例と思います。
今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m
投稿: uerei | 2012年4月15日 (日) 17時37分
はじめまして。
「今年のアカデミーのテーマは老いと孤独」と
おっしゃる所に目をひかれました。
アカデミー賞に限らず、日・欧・米の最近の
全般的な傾向かとも思いますが。
多分「先進国」といわれた国の人々が、
「老いと孤独」の中に生きざるを得ない世の中
なのかもしれないと思ったりもしています。
その意味で、とても的確なレビューとして拝見しました。
ついでに、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」の
ほうも覗かせていただきました。
こちらもまさに、おっしゃる通りの展開で、
参考になりました。
この2題、TBさせていただきました。
ありがとうございました。
(同じ記事を2度TBしてしまいました。1つ削除願います)
投稿: ojirowashi | 2012年4月11日 (水) 14時19分