そして、続いていく『ファミリー・ツリー』
★★★★★
ハワイそのものが悲しみをいやす大きな存在
アカデミー賞関連では、遅めの公開ですが、いよいよ登場。待ってました!
今年、最大級のいやしとカタルシスに出会えました。
ハワイの大自然。海や砂浜、山々、緑茂った木々、小川の清流…
そしてハワイアンミュージック、ハワイアンキルト。
すべてが愛おしく、すばらしいんです。
ジョージ・クルーニーはごく普通のおじさんの役。
パリッとはしてなくて、時々取り乱して。
これが意外や、なんか、いい!
初めてみるジョージ・クルーニーのダメパパぶりは、実にコミカルでした。
そんなジョージが演じる、弁護士のマット・キングは、
ハワイのオワフ島に暮らしてはいても、15年もサーフィンをしていない仕事人間。
ある日突然、妻がボート事故で昏睡状態におちいってしまいます。
これからは心を入れ替えて、良き夫になる、理想の父親になる、
一緒に過ごす時間をつくるよ、もし、君が覚めたら・・・。
と、意識不明の妻に誓いますが、
長女アレックス(ビューティフォーな注目のシャイリーン・ウッドリー)の
「ママは浮気してたんだよ」という告白によって、状況は一変するのです。
この映画は悲しい物語でもあるのですが、そればかりじゃありません。
流れる涙は、どこか希望を感じさせる涙。
つながっていく明日を思わせる涙でした。
家族っていいな。2012春・縁(えん)をつなぐシリーズの第4弾です。
<ここからは若干ネタバレあります>
そうはいうものも、
17歳のアレックスは母親の病状を聞いて動揺します。
(プールの中のシーン、胸に迫ります。。。)
10歳の妹スコッティも、なんだか情緒不安定に。
そんな2人にぴったりと寄り添うのが、
初対面のマットにも「ちぃっす」とあいさつしていたシド。
「誰やねん?」という感じで、妻の浮気相手のいるカウアイ島までも、
一緒についてきたり、おじいちゃんには殴られたり・・・。
でも実は、彼は重要な存在で、
ピアカウンセラーのような立場を果たしていたんですよね。
ピア(peer:仲間・同僚の意)カウンセラーとは、
同じ悩みや障害を持つ仲間(体験者・当事者)を、対等な立場でサポートする人のこと。
このとき、シドも自身のグリーフワークの真っ最中だったと思うのですが
「ええやつ」と、彼の立ち回り方にもグッと来てしまいました。
おじいちゃんも、おばあちゃんが認知症で、
昏睡中の娘のこともよくわかってないという、せつないシチュエーションの中
シドみたいのが来たら「なんやっ!?」とはなりますよねw。
娘であり、母であり、妻である彼女は、意識回復の見込みはなく、
延命治療を望んでいなかったため、まもなく生命維持装置を切らなければなりませんし。
加えて、マットの一族は、先祖代々の土地を売却すべきかどうか、という問題も抱えていました。
リゾート開発業者に売って儲けたい人、広大な自然を守りたい人と
親族一同でも意見は真っ二つ。
これを考えるとき、果たして自分は、自分の家族はこれでいいのだろうかと、
マットは思い始めるわけです。
そして、ラストは
家族3人、アイスは2つ、1枚のブランケットにくるまっている・・・。
何という、カタルシスでしょう!
こうやって、家族の歴史は続いていくんだな、と思わせてくれます。
私はハワイには行ったことがありません。
どうせ行くなら、
この映画みたいなところを見て回りたい、と思っています。
↓ジョージ・クルーニー主演作。人生はいろいろ詰め込みすぎたら重たくなります
・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy twilog
・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。
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本当、悲しい別れもあるのに、
劇場を出た後に、どこか清々しいというか、
穏やかな、和やかな気分でいられる映画ですよね〜。
適度にユーモアもあるし(*^m^)
今後ともどうぞよろしくお願いします。
投稿: uerei | 2012年6月 1日 (金) 11時26分
TBをありがとうございました。
近頃あまりいい映画にお目にかれなかったので、この作品にホッとしました。
家族の絆を描いて、ほんわかと和やかな気分になりました。
適度のユーモアもくどさがなく、ほどよいあんばいで・・・。
全体にのびやかで、気持ちがくつろげそうないい作品じゃなかったでしょうか。
これからもよろしくお願いします。
投稿: Julien(徒然草) | 2012年5月25日 (金) 08時03分
ノルウェーまだ〜むさん、こちらこそありがとうございました!
>シドの役割は本当に重要で、彼自身も辛い経験をしたばかりなのに、落ち着いてアレックスに寄り添っていたことがわかって、ぐっときちゃいましたね。
そうなんですよね〜。ラストシーンもとても感動的だったのですが、実際、この映画の中で一番グッときたのは、シドがなぜこの一家とずっと一緒にいるかがわかったときだったりして…。
またよろしくお願いします!
投稿: uerei | 2012年5月24日 (木) 10時37分
uereiさん☆
はじめまして!トラコメありがとうございました♪
シドの役割は本当に重要で、彼自身も辛い経験をしたばかりなのに、落ち着いてアレックスに寄り添っていたことがわかって、ぐっときちゃいましたね。
一方的に慰めるのではなく、辛い経験をしている者同士で支えあうのをビアカウンセラーというのを始めて知りました。
こちらもTBさせていただきますね。今後ともよろしくお願いします~
投稿: ノルウェーまだ~む | 2012年5月24日 (木) 10時09分