『おおかみこどもの雨と雪』にある子離れと親ゴコロ
★★★★★
親がイチバン難しいのは
子どもから離れることだ
子育てと、子離れ。
子どもが自分の生きる道を見つけ、
信じられる人、信じられる世界を見つけていくお話。
それを親が見守る、見送るお話。
細田守監督の『サマーウォーズ』も『時をかける少女』も、
どちらかというと、すっかり出遅れて、話題になってから観て、
なるほど!みんなが大好きになるワケが分かるっと思ったものですが
本作は早い段階から、映画を生業にする方々からの絶賛の嵐。
そして、同い年の娘を持つ友人からも「号泣した!」との知らせ。
これは、子どもと一緒に観たかったようでいて、
実は、子どもと一緒に観るには、どこかこっぱずかしい親ゴコロにあふれ過ぎていて、
一緒じゃなくてよかった、とちょっとホッとしながらも
子どもたちと一緒になって号泣しているママさんたちがうらましくもあったりと
微妙な気分にさせられました。
親たるもの、
子どもがああいうふうにして行くまで、そばにいて、
ご飯をつくり、ともに学び、
日常を過ごし
「大好きだよ」と、「大丈夫だよ」と
「いてくれてありがとう」と伝えていく、
それが親の務めの1つなのだなと。
そして、【時】がきたら、
勇気を持って、子どもたちをああやって送り出すんですね。
そこにいたるまでに
「雨」と「雪」の母親である「花」が考えさせてくれた2つのことが
私にはとても新鮮に思えました。
あまり、日本映画では、見たことのない光景だったもので。
“普通”と違っている家族、“普通”と違っている子どもたちに
どう違っているのか、なぜ、自分たちにとっての“普通”を周囲に見せてはいけないのかを
1つ1つ丁寧に説明して、納得させていってる「花」。
自らもあきらめることなく、前向きで、常に学ぼうとしているし。
何より、よく働く。よく動く。
頭が下がります。本当に。
また、「花」の子どもたちへの言葉のかけ方、接し方。
何かをしてほしい、言うことを聞いてほしい、お手伝いしてほしいときには
子どもたちに対して、最後に「おねがい」とつける。
そして「ありがとう」と言う。
「○○しなさい」という言い方はしてないですよね。
子どもたちの自主性を尊重して、強制するでもなく
「おねがい」で考えさせる、答えを自ら出ささせる。
そして、答えを出してくれたら、それを受け止めて「ありがとう」。
こういうことって、子どもの自己肯定感を高めていく
親としてのあり方の原点のように思います。
画としては、
雪の原の、おおかみ目線での疾走シーンが特に好きでした。
一緒に走っている気分になれました。
「雪」の天敵が三毛というのも、笑えるw。
主題歌も含めて、今年1番ぐらいに気に入ったな〜と思ったのですが、
今年の邦画はすごい。
まだまだ上手が出てくるわけですが。。。(それはまた後日)
「かあさんの唄」が流れるエンドロールで
思い出していたのは『隣る人』というドキュメンタリー映画でした。
メッセージは一緒なんだと思います。
でも、隣る人ではあるけれども、ずーっと一緒にはいられないんですよ。
特に、こういう記事を読んだりすると、
余計に考えさせられます。
・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy twilog
・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。
よければFacebookページにも「いいね!」をお願いしますm(_ _)m
Healing & Holistic 映画生活
« その子を受けとめる『隣る人』 | トップページ | 『桐島、部活やめるってよ』前田、部活たのしいってよ。 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『おおかみこどもの雨と雪』にある子離れと親ゴコロ:
» 『おおかみこどもの雨と雪』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「おおかみこどもの雨と雪」 □監督・脚本・原作 細田守 □脚本 奥寺佐渡子□キャスト(声) 宮崎あおい、大沢たかお、黒木 華、西井幸人、大野百花、 加部亜門、林原めぐみ、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、菅原文太...... [続きを読む]
» 「おおかみこどもの雨と雪」 子育ての喜びと寂しさと誇りと [はらやんの映画徒然草]
「時をかける少女」「サマーウォーズ」の細田守監督の最新作です。 細田監督の「時を [続きを読む]
» 『おおかみこどもの雨と雪』 [ラムの大通り]
----この映画のって、
『時をかける少女』や『サマーウォーズ』で人気の細田守監督作品だよね。
タイトルが分かりにくいんだけど…。
「そうだね。
でも、よくキービジュアルを見てごらん。
ほら、ふたりの子どもの耳…」
----あっ。
「ね。彼らは
人間とオオカミの間に生...... [続きを読む]
» もののけ姫 と けものの姫●おおかみこどもの雨と雪 [Prism Viewpoints]
私は、この子たちと生きていく。 (公式キャッチコピー)
『おおかみこどもの雨と雪』
監督 細田守
原作 細田守
脚本 細田守
奥寺佐渡子
出演 宮崎あおい
大沢たかお
... [続きを読む]
» 映画:おおかみこどもの雨と雪 [よしなしごと]
細田守監督の時をかける少女からもう6年もたつんですね。躍動的な描写が美しくて、ストーリーも楽しかったので、細田守監督が原作も手掛けたおおかみこどもの雨と雪も楽しみにしていました。と言うわけで…。... [続きを読む]
» おおかみこどもの雨と雪 [銀幕大帝α]
私は、この子たちと生きていく。
−感想−
感動するアニメ、泣けるアニメって聞いてたんだけれど、そこまで感動はしなかったし別に泣けもしなかったです。
なんかねぇもうちょっと母親の事を大事にしてやれよ!って思い出したら雨の無責任さに腹が立ってきちゃったんだよ...... [続きを読む]
ヤマさま、コメントいただいていたのに遅くなりましてすみませんでした。
ありがとうございました!
たしかに、「花」は理想化された女性像だったかもしれませんが
親としては本当に考えさせられるところが大きかったんです。
だから、子どもと一緒に見るのはこっぱずかしいですし、
花に対しても反発より尊敬が先に来ますー。
また、どうぞよろしくお願いします!
投稿: uerei | 2012年10月19日 (金) 17時57分
uereiさん、こんにちは。
昨日付の拙サイトの更新で、こちらの頁を例の直リンクに拝借したので、報告とお礼に参上しました。
拙日誌に「言うなれば、理想化された女性像でもあって、そこに同性として反発を覚える女性客もいるかもしれないと思えるほどだった」と綴っていた僕としては、「どこかこっぱずかしい親ゴコロにあふれ過ぎ」との率直な弁にニンマリしながら、“「花」が考えさせてくれた2つのこと”とお書きのところに大いに共感を覚えました。僕もまさにそこのところに言及してるのですが、やはり本作の核心部分だろうと思います。
こっぱずかしさを覚えるくらい「今年1番ぐらいに気に入ったな〜と思った」作品というところにニンマリさせていただきました。
どうもありがとうございました。
投稿: ヤマ | 2012年10月11日 (木) 21時44分
えいさん、ありがとうございました!
実は私も、その様子を見て身につまされたんです。
自分でも改めようと思って書きました(^◇^;)
投稿: uerei | 2012年8月28日 (火) 20時59分
>「○○しなさい」という言い方はしてないですよね。
子どもたちの自主性を尊重して、強制するでもなく
「おねがい」で考えさせる、答えを自ら出ささせる。
そして、答えを出してくれたら、それを受け止めて「ありがとう」。<
なるほど。
目を覚まさせられました。
ありがとう。
(あっ、私は人の親ではないですが…)
投稿: えい | 2012年8月28日 (火) 08時55分