おたがいの存在が【痛み】をいやす『最強のふたり』
★★★★★
住む世界が違っても、
最強になれるふたり
フランス国民の3人に1人が見た、という大ヒット。
ヨーロッパ各国でも絶賛、各賞受賞の嵐。
昨年、上映された東京国際映画祭では、グランプリと主演男優賞(写真の2人とも)
をW受賞。
ハリウッドリメイクも早々に決定。
ということで、
めちゃくちゃ楽しみにして、拝見しました。
冒頭の、はちゃめちゃで、衝撃的な、楽しい、ノリノリのシーンが、
そういうことでつながっていくとは!
震災以降、
絆とか、つながりとか、さかんに言われております。
どうも何となく、うさんくさいキャッチフレーズだな、と思っております。
すみません。
でも、実話をもとにした、
ユーモアたっぷりのこの映画には、
それらが、しかとあります。
現時点とりあえず、今年ナンバー1であることは間違いないです。
事故で、首から下がまひしてしまった大富豪のフィリップと、
スラム街出身の陽気な青年・ドリス。
住む世界も、好きな音楽もまったく違うこのふたり。
フィリップの介護人募集にやってきたドリスは、
失業保険さえもらえばよかったのに、
なぜか採用決定。
大きな体で、楽々とフィリップを車いすに運びますが、
あらら、ベルトしないと落ちちゃうでしょ〜、というありさまで、
介護の経験はまったくゼロ。
しかも、まだ幼い弟や妹がいて
半年も家に帰っていないことから、何だかワケありそう…。
しかし、しかし!
そのドリスのドストレートな、明るい好奇心とお節介によって、
フィリップは、内にこもらせていた感情を表出させることができ、
新たな楽しみを知り
けっして同情しないドリスの態度に、心を許していくことになります。
一方、「同情するなら金をくれ」を地でいくドリスもまた、
根は、とても折り目正しい人。
フィリップのおかげで、洗練された世界を知り、
教養や社会性を身につけていくことになります…。
今、ちょうどパラリンピックが開催中。
1日中テレビをやるという夏休み恒例の番組も終わったばかり。
障がい者理解とは。
介護とは。 から、
格差とは。
貧困とは。
教育とは。
労働とは。
友情とは。
思いやりとは。
いやしとは。
そもそも、1対1の人間同士として
お互いを理解することとは。歩み合うこと、寄りそうこととは。
笑い泣きのくり返しの中で、
そんなことまで考えてしまいました。
おそるべし、このコメディ。
そして、いま、案の定
「受容」という言葉をかみしめています。
受け入れること。
同情や特別扱いをするんじゃなくて、共感すること。
「お前はそうなのか、ああ、そうだったのか。」ということ。
ああ、そうだったのか。
だからこそ、ここには
最強にやさしくて、強い、心からのきずながあると思うのです。
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・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。
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iinaさま、コメントありがとうございました。
昨年の東京国際映画祭のとき、Twitterでフォローしてる方々が
絶賛されていたわけがよくわかりました。
>不採用にしろと失業給付を悪用しようとする者を採用することは、普通ならしないことを、悪戯心を起こした富豪が一番ピッタリする相性を見つけるなんて、人生万事塞翁が馬のこころです。
本当ですね!意外な出会いから、物事が大きく変わることってありますものね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
投稿: uerei | 2012年9月 5日 (水) 09時00分
ちょうどパラリンピックが開催中なので、日本ではタイムリーな作品になりました。(わが町では、10月公開。)
本作は、ヨーロッパ各国で絶賛、各賞受賞の嵐。
日本でも、昨年の東京国際映画祭でグランプリと主演男優賞(2人とも)をW受賞だったのですね。
まさに、おそるべし、このコメディです。
不採用にしろと失業給付を悪用しようとする者を採用することは、普通ならしないことを、悪戯心を起こした富豪が一番ピッタリする相性を見つけるなんて、人生万事塞翁が馬のこころです。
投稿: iina | 2012年9月 1日 (土) 10時44分