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2012年10月 9日 (火)

生者は行く。死者の使者が『ツナグ』ゆえ。

Photo

ツナグ

★★★★


生者と死者と思いをつなぐ

ファンタジック・ストーリー


直木賞作家・辻村深月の原作を映画化。

これは当て書きか⁈と思うほど、

都会的でクールなルックスでありながら、どこか朴訥で誠実な印象を持ち、

時に、年上に対しても「甘えんなよ」と熱く諭すことのできる高校生・歩美を演じられるのは、今、ギリギリ桃李くんしかいないんじゃないかと思います。

(この「ギリギリ」は年齢的に、という意味で)


もちろん、ちょっと不思議な雰囲気を持つ、おばあさんを演じたら

もはや右に出る者はいない、樹木希林さんはいうまでもないハマリ役。

遠藤憲一、八千草薫といったベテラン勢は抜群の安定感。

プラス橋本愛、大野いと、桐谷美玲といった若手の女子たちの熱演により

予告を観た感じや、事前に描いてしまったイメージで

斜に構えていたところをいい意味でくつがえされました。


意外にも、いい映画だったな、と思っています。





映画では、依頼者による3つのエピソードと
ツナグ自身のエピソードからなります。
1つめのエピソードは、
亡くなった母親に会いたい息子。

がんであることを知らぬまま、逝ってしまった母。
本当の病名を伝えるべきだったのではないか、と息子は思い悩んでいます。

これはありがちかもしれません。

私も、死者側なら、息子に呼ばれたらうれしいですね。
でもまあ、きっと彼は私を呼ばないでしょうけど(^-^;

ここで、すでに感動レベルは高まりますが、
2つめのエピソードで、がつんと落とされます。

けんか別れ、というか、ライバル心・嫉妬心のために
わだかまりを抱えたまま、突然の事故で親友を失った演劇部のヒロイン。

『桐島』にもあったような、この時期の女子特有の(?)
本心を隠して、探り合うようなシンユウ同士。

あれは壮絶なシーンでした。
はらはらしました。
橋本愛は、すごいわ。

で、3つめのエピソード。
段階的に、ツナグの仕事も少しだけこなれてきた歩美が
ツナグのしくみというか、原理を伝授されていきながら
もう1歩成長することになります


ツナグがあちらの世界から呼んでくる【死者】を形づくっているものは、
実はこの世に遺された生者がもつ記憶なのかもしれない。

そう原作にあったのですが、それには迷わず納得しました。

私たち生きている者、遺された者は、しばしば死者について語る局面があります。

でも、そこでは、生者はもはや記憶と想像を前提にして
その人を語るほかないんです。

そうやって、
記憶と想像のままに死者を語るのは、生者のエゴであり、
わがままな解釈のものになるのかもしれません。

自らの喪失をただ埋めるためだけの自己満足に過ぎないかもしれません。


それでも、
もし今、隣で、喪失感や、自責の念や、後悔に
肩を震わせている者が、少しでもいやされるのならば、

たとえ、エゴで、自己満足で、わがままに死者の物語を語ったとしても、

それは許されるだろうと思います。
それは必要なことだろうと思います。


そこで私たちが語るときに、糧となるのは記憶。

生きている間に、お互いの間に
確実に刻まれてきたものです。
1人1人が、かかわり合い、つなぎ合っているからこそのものです。



ツナグは、だれのための仕事か、といえば

それはもちろん、いまだ運命をまっとうしている生者のため、

ツナグ自身も含め、 前を向いて自分の人生を生き抜いていくためであるのだと、

最後の、ツナグ自身のエピソードにて
改めて暗示してくれているように思えたのでした。


ただ、この『ツナグ』、死者に対峙することは、必ずしも前向きな気持ちにさせることばかりではないというエピソードも盛り込まれています。

会おうとしなければ、知らなくて済んだこともあるのです。

時には、一生、十字架となるような仕打ちを負うことにもなる。

死者をただ生者の都合いいように扱っていないというか、
そういう、いっそう傷つく記憶に置き換えられる可能性もあるという部分も、

実はとても好感が持てた部分なのでした。


ツナグ - goo 映画

ツナグ@ぴあ映画生活

↓現在のオビは、映画化仕様になってます。

↓似ているようで若干違います。


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