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2012年10月20日 (土)

心の中の『希望の国』をめざして。

Photo_2

希望の国

★★★★★

希望の国。それは

描くもの、つなぐもの、思い続けるもの


今から数年後の日本、ふたたび大地震が起き

“長島県”で、原発事故が発生。

とある酪農家の一家は、老夫婦は原発20㎞圏内の内側に残り、

若夫婦は避難し、離ればなれとなる

というストーリー。

鬼才といわれる園子温監督が、今なお続く原発問題に

真っ向から斬り込んでいます。

前作『ヒミズ』でも震災が盛り込まれていましたし

原発事故以後、ドキュメンタリーは数多く作られていますが

フィクションでこうも真っ向なのはおそらく初めてとなります。

Twitterをやっていたり、東京(中日)新聞を購読している方なら

どこかで目にしたようなエピソードをいたるところで再確認できるかと思います。

もちろん、初めて目にするような光景も。

ドキュメンタリーを観ているような印象を持ったりもしました。

監督が、足で集めてきた結果なのだろうと思います。

「福島の時のこと、覚えてるだろ」

何度か、そのセリフが出てきます。

映画を見終わって、まず思ったのは、

希望の国、というタイトルの意味。

希望の国って、どこにあるんだろうか

このタイトルは、なんて皮肉で、逆説的なんだろうか

いったいどういうことなんだろうか

今や、復興予算の使途をみても、

もはや希望すら持てない国で、どうして?

そう思いながらも、

この命題は、大きい、ということに思い至ります。

こうであってはならないと

心の中には抱えている

“希望”を持って、持ち合って、分かち合って

これからつくっていこう、ということですよね、一歩、一歩。

おそらく。たぶん。

実は個人的に、この映画で一番ショックというか、悔しいと思ったのは、

日本=イギリス=台湾の合作であること でした。

海外での監督の評価を考えれば、当たり前かもしれなかったし、

喜ばしいことではあるのですが、

こういう映画を、日本の資本だけで撮ることが難しい、ということこそ、

根底にある問題そのものなんだろうと思うのです。

『冷たい熱帯魚』や『愛のむき出し』をあれほど評価していながら、

次は原発がテーマだとわかったら、みんないなくなったと

だったかでプロデューサーさんがおっしゃっていました。

クサイものにはふたをしろ なのです。

キャサリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』を引き合いに出していました。

イラクの爆弾処理班の壮絶さを示した、この映画は
アメリカでは、その年、圧倒的3Dの『アバター』を抑えて
アカデミーでも作品賞や監督賞、オリジナル脚本賞など6部門を受賞しています。

また、現在は
10/26日本公開の、イラン・アメリカ大使館人質事件をリアルに描いた
『アルゴ』という映画も高評価を得ています。
賞レースにも、もちろんからんでくるでしょう。

国としては触れてほしくないところに、どんどん突っ込んでいく。
そして、興行的にも成功を収め、
内外からも評価をされている。

後世に残る。記憶に残る映画になる。

そういう映画があることは、うらやましい限りですね。

そういう映画になってもらいたいのです。

試写会の後、「らしくない」「期待はずれ」と

とらえる方がいらしたのですが、

私は十分、らしいと思います。

監督の、父親への思いがつまった『ちゃんと伝える』を超える、真摯さを感じます。

夏八木勲さん、大谷直子さんの演じる夫婦関係は
すばらしいものでした。

村上淳さん、神楽坂恵さんの若夫婦も

清水優くん、梶原ひかりちゃん(天音ちゃん!なんて言ったら怒られるね、もう)の恋人たちも、
同様に。

それに、

だれも、あの若奥さんを笑えないと思うんですよ。

笑えないですよ。

心の奥底では、そうだと思うんですよ。

全然、大丈夫なことなんかじゃないし、
ドーンと構えて、明るく笑っていれば、いつの間にか終わっている
ということでは、決してないですもん。

あの若奥さんが避難していた地域がどれぐらいの線量であったにせよ、

あの格好はやりすぎかもしれなくても、
心情的には理解できます。

わが子の、家族の身を守るために、見に見えないからこそ、 においがないからこそ、

手には触れられないからこそ、どれだけの害があるのか分からないからこそ

できるだけ体に入れたくない、離れる、選ばない、という行為は

しごく当然のことだろうと思います、特に母たる者なら特に。

ごく当たり前の意識だと、私は思うんです。

ラストもまた、何もそうしなくても、と思われるかもしれませんが
先のEテレの番組でも触れられていたように、

そうでもしなくては、今もなお現在進行形で続いているのに、

丸くおさまって終わってしまうのは、違う気がしています。私も。

そうじゃない。

終わってもいない。目途すらもついていない。

そのことを示すには、ああすることが、映画としてできることだろうと

思います。

その部分には触れてくれるな、利用するな、という考えは確かにあるでしょう。

でも、それでも表現しなければならない

伝えていかなくてはならない という、監督の覚悟のような意思を、

私たちは、それこそ真っ向から、この映画を通じて受け入れる必要があるのだと思います。

大谷直子さん演じる認知症のお母さんが
何度も「うちへ帰ろうよ」と繰り返しています。

本当に帰りたいのは、どこか。一番悔しいのは、だれか。

風化させないためにも、この今、劇場でかかっているときに
観るべき作品であることは間違いありません。

雪に埋もれた、何もない場所を
かつて、だれかの家があり、家族がいて、団らんがあった場所を
心にとどめ、

一歩、一歩、ゆくしかないのです。それでも、なお。

希望の国 - goo 映画

希望の国@ぴあ映画生活

↓まさに半ドキュメンタリー。

↓染谷君は、きっと来ると思ってた。

・Twitterでも時々つぶやいています @uereiy twilog

・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。Facebookページにも「いいね!」をいただけるとうれしいですm(_ _)m

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