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2012年11月17日 (土)

『その夜の侍』の悲痛な喪失が昇華するとき

Photo_3

その夜の侍

★★★★★


かつての他愛のない日常を

復讐で取り戻そうとする男


その約2時間の間、

“持ってかれる映画ってあります。

まるでハガレンをまねしていえば。

去年だと『ブラック・スワン』とか、完全にあの世界に持ってかれました。

で、今年はこれ。

『鍵泥棒』とも『大奥』とも違う、堺雅人。

突然のひき逃げ事故で妻を失った男の
ものすごい、ものすっごい喪失感を

べたべたの、脂ぎったような髪と、毎日来ている汗まみれの作業着姿で
薄暗い部屋に閉じこもって、体現しています。

そして、その敵役である、山田孝之の凄み。

本当憎たらしいやつ、自分勝手で、自分の欲望しかなくて、という悪役。

逆に、その敵役にゆすられる亡き妻の兄は、新井浩文、
イヤでイヤでしょうがなくても、離れることが恐ろしいから
一緒につるむ友に、綾野剛。

出てくる男たちが、みんな、
どこか弱くて、情けなくて、度胸がなくて、愚かで、無様で、
いとおしいんです。

不思議です。

もともとは舞台だったんですね。すみません、知りませんでした。

下北のザ・スズナリで大好評だったとか。

監督は、劇団「THE SHAMPOO HAT」の俳優・演出家・脚本家であり、
WOWOWの連続ドラマW「ヒトリシズカ」にもちらっと出てくる赤堀雅秋。

「あ、この人」。
いろんなところに、いろんな顔をして出てくる役者さんですが、
初監督の本作は、見事、今年の「新藤兼人賞」金賞を受賞することになりました!

中身が中身だけに、多くは語れませんが、

スクリーンの中にある、
主人公の行動とか、部屋の散らかりぐあいとかだけでなく、
電話とか、プリンとか、破れたビニール袋とか、

あらゆる、ごく日常にあるものにおいて
これほどまでの痛嘆な、悲痛な喪失感と、
それに比例する深い愛を表出させている映画だとは思いもよりませんでした。

本人が何一つ語らなくても、まさに痛いほどにそれが伝わってきました。

だれかとか、きっかけの出来事を憎み続けたまま生きていると、
人はこうも魂を抜かれてしまうのでしょうか。
特に、男と男の、1対1が対峙したハイライトの場面は、

まるで幕末の、刀さえも売ってしまった
抜け殻・侍どうしの決闘のようにも見えてしまいます。

そして、ラストシーンまで、完全に持ってかれてしまいますが

それはもはやカタルシスでさえ、ありました。

みんながみんな、さみしくて、つまらなくて、
つながりたくて、切りたくて、
1人でいたくて、つるみたくて、
愛されたくて、愛したくて、

そんな矛盾だらけの、人間の機微を
ドカンと突きつけられたような気がしています。

↓果たして、復讐や報復で救われるでしょうか。

↓それでも、生きていくって思えるまでは時間がかかります。

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・試写会や来日記者会見の感想もちらほら。

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