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2013年2月16日 (土)

『ゼロ・ダーク・サーティ』怒濤のラスト30分のために。

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ゼロ・ダーク・サーティ ZERO DARK THIRTY

★★★★☆


キャスリン・ビグローの映画はいつも

心にずっしり重たい荷物を残す



2010年の第82回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞など
5部門を受賞した『ハート・ロッカー』の
キャスリン・ビグロー監督が描く、

2011年、ビンラディン殺害までの内幕。
タイトルは、軍の用語でビンラディン潜伏先への突入時刻、
「午前0:30」を表しているそうです。

彼を追い続け、ついにその居場所をつきとめた
若きCIA分析官マヤを
ジェシカ・チャステインが演じます。

彼女は今月行われる第85回アカデミー賞主演女優賞にも
ノミネートされていて、多分、獲るだろうと予想していますが、
(本作は監督賞、作品賞、脚本賞、編集賞などにもノミネート)

本当に、作品によって印象がぜっんぜん違うんですよね。 
これぞ真の女優なのか、まさに。

しかも、この映画の中でさえ、
冒頭の、アルカイダの捕虜への尋問(というか拷問…)のときに見せる動揺と、
ラスト近辺のキレ具合や仕切り具合とでは、
まるで別人のように見えてきます。

まちがいなく、およそ10年におよぶ
1人の女性マヤの成長物語でもあるんです。

成長…? うん、成長でしょうね。

マヤは、当初、過酷な捕虜への尋問にビビっています。
「I'm fine.」とは言いながらも、全くそんなふうには見えません。

やがて、パキスタン支局流というのか、対テロ仕様というのか、
彼らを相手にして、必要なことを聞き出す術を身につけ、
彼女は1人の、有力な、ビンラディンにつながる人物にたどりつきます。

しかし、
やがて同僚を失って、自らも命の危険に晒されて。
「壊れたのか」と言われるまでになるのです。

その一方で、
たとえば、友人との気軽なおしゃべりとか、ディナーとか、
弱気な心とか、慈悲深さなどを、きっとどこかにしまい込みながら、
これぞ、という情報にかけていく。
そんなマヤを
ジェシカ・チャステインが熱演しています。

彼女とともに、結果のわかっているところに向かって、
1つ1つのパズルを積み重ねていき、
ブロセスを順に追っていく作りは、見応えがあります。
個人的には『アルゴ』よりも没頭して観ていたと思います。

そういえば、9.11以降にもこれだけのテロ行為があったんだよと
思い起こされましたし、
いよいよの、0時30分の海軍特殊部隊ネイビー・シールズの作戦実行時には
さらに有無を言わせない緊迫感で、ぐいぐいと引っ張られました。

このシーンは、実際に夜中の0時30分ごろから
暗視カメラを使って、一気に撮影したらしいです。
劇場がさらに真っ暗です。

そうやって私たちは、誰もが知る、例えばうちの子でも知っている、
くだんの男がどんな最後だったのか、
固唾を飲んで見守ることになるのですが…。

ただ、
多くのさまざまな人生や命をかけてまっとうされた“正義”の影で、
それがたとえ史上最大規模のテロの首謀者だったとしても
目の前で親を殺された子どもたちの瞳に宿るのは
激しい憎悪でしかない、ということが
重く、澱んで、心の中にずっしりと残っていきました。

ラストシーンの、マヤの涙を見ているうちに
その心の荷物はますます重みを増していきました。

「これから、どこに行く?」と問われても、
彼女はもう、どこにも行きようがない。

『ハート・ロッカー』のときもそうだったように
この“お土産”は、エンドロールが終わっても
けっして消え去ってはくれないのでした。

ゼロ・ダーク・サーティ@ぴあ映画生活

ゼロ・ダーク・サーティ - goo 映画

↓この映画のジェシカはかわいい。そして、彼女のところで泣けました。

↓この映画のジェシカは美しい。やさしく子どもを包む母親です。


↓ここにいるのが使命というよりも、
自分が自分でいるための手段という気がします。
↓今回もブラックホークが、ダウンします。


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