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2013年3月 3日 (日)

『フライト』変えるべきもの、変えられないもの

Flight

フライト  FLIGHT

★★★★


彼はヒーローでも、犯罪者でもない

自分を保つ手段を誤っただけ

 

予告編や事前情報から想像していた話と
ちょっと違いました、映画『フライト』。

ネタバレをなるべくしないようにしたいと思いますが

タイトルは「ニーバーの祈り」という
アルコール依存症の克服の会などで必ず唱えられている
祈りの言葉の1節からとっています。

劇中にも、ほんのちらっと使われてあります。
この映画は、彼が飛行機は墜落した理由を謎解きする映画でもなければ、
ヒーローか犯罪者か、誰かに仕組まれたのかというサスペンスでもなく、
ずっしり、どっぷりの依存症の話だということは
語らずにはいられないでしょう。

パイロットのウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)は、
操縦する旅客機が突如、制御不能になり
もはや墜落するしかない、という大変困難な状況の中でも、
とっさの機転と奇跡的な操縦テクニックにより
何とか旅客機を不時着させ、
ほとんどの乗員・乗客(102人中96人)の命を救った英雄となりました。

ところが
生存者にそろって行われた血液検査の結果、
ウィトカー機長の血中から高濃度のアルコールが検出されます。
(そして、コカインも)

大勢の命を救ったヒーローは、一転して、
多くの命を危険にさらし、結果、6名の命を奪った過失致死にあたるとして
終身刑にされる恐れが出てきてしまいますーー。

私の中では、どんな作品でもデンゼル・ワシントンは善意の人、
というイメージが強いのです。
最近だと『デンジャラス・ラン』の裏切り者とか
昔の作品でいえば『ジョンQ』の一生懸命なパパとか、
『フィラデルフィア』の誠実な弁護士とか。(古すぎ…)
でも、そんな先入観は、冒頭から吹っ飛んでしまうわけです。
 
「むむっ」!!!
PG12のワケもわかりました…。

 

画面からは、においこそしなくても、

きっとウィトカー機長、日常的に
それはそれはアルコール臭がプンプンしていただろうなと思います。
でも、腕が抜群にいいし、それまでは何事もなく業務も遂行できた。
尊敬できるパイロットとしての一面があまりにも大きかった。
だから、周囲も特に責めることはできなかったのかもしれません。
例えば
私が今気に入っている海外ドラマ『ナース・ジャッキー』でも
NYにある病院のERナースがドラッグ(鎮痛剤)依存症になっているのですが、
彼女もとても優秀。すばらしいナースさん。

シーズン4ではリハビリ中ですが、
最初は周りのだれも、夫さえドラッグのことは知らなかったんです。
彼女は仕事においても、家庭においても
日常的にウソにウソを塗り重ねていたんですよね。
ドラッグのために。

そして、ウィトカー機長もそうでした。

依存症の怖いところは
飲みたいから飲むんじゃなくて、

もう飲むことしかできなくて、
何度もウソを重ねて、現実を折り曲げて
ずっと飲むことだけを選び続けてきた結果に、
いつでも、どんなときでも、もうそれしか選べなくなる、
そっちが“素”の自分になってしまうんだということ。

もうやめたい、もうやめようと思っても、
こんな惨めなのはもう嫌だと思っても、
そう簡単には、“素”の自分を手放せなくなってしまうんだ、ということ
を改めて思わせてくれました。
特にラスト近くのあるシーンで、目の当たりにしました。

実は、主人公はどんな職業でもよかったんじゃないかと思うんです。
より大勢の命を預かる者であったなら、
背面飛行や不時着などの話題性があったなら、
より映画的に盛り上がるということで(確かに盛り上がる)、
たまたまパイロットであっただけで。

しかし本当は、だれにでも起こり得る話であるわけで。

それでも
その惨めさの徹底的などん底体験というのか、崖っぷちの体験というかがあって
かろうじて、人は這い上がることができる。

「もうやめようよ」と言い、倒れかけた背中のほうから
支えてくれる人がいることを知る。

ハラハラさせられましたが、
ロバート・ゼメキスが久々に撮った人間ドラマらしく、
ラストはあれでよかったと思います。
 

 

ドラッグの売人役だったジョン・グッドマン。

なぜか彼の登場はその風ぼうもあって、可笑しかったんですが、
おいおい、まさか、そんな感じで終わらせるつもりじゃないよね?と
ちょっと素直に笑えない部分があったのも事実でした。
(結果、違いましたケド)

とはいえ、彼だけでなく、弁護士役のドン・チードルはじめ、
ウィトカーの姿を見て、我がフリ直そうとするニコール役ケイリー・ライリーや
2人を奇妙な縁で引き合わせる男性患者ジェームズ・バッジ・デールなど
脇が効いているのも、
出ずっぱりデンゼルが輝けた理由ではないかなとも思っています。
 

フライト@ぴあ映画生活

フライト - goo 映画

↓ナースのジャッキーは鎮痛剤の依存症。

戦場カメラマンの彼もアルコール依存症

↓作家の彼もアルコール依存症。

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コメント

評価、けっこう分かれてるんですか〜と思って
Yahoo!レビューみてきましたら、そのようですね〜(^-^;

確かに、画になるので背面飛行のシーンなどが
クローズアップされるのは仕方がないと思うのですが、
これはロバート・ゼメキスが久しぶりに撮った“大人”の人間ドラマだと思うので、
そういうつもりで見られたほうがいいかなとは思います。私は好きです!
それに、近しいところにアルコールに溺れた人間がおりますので…(^◇^;)

けっこう評価が分かれる作品のようですが

uereiさんは高評価のようですね~

見に行くか・・・迷う

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