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カテゴリー「戦争」の記事

2013年3月28日 (木)

『ザ・マスター』どうか私をそそのかさないでください。

Themaster

ザ・マスター THE MASTER



★★★★

がっつり三つどもえの闘い

愛憎のぶつかり合い

すごい話でした。が、嫌いじゃないです。
むしろ好き。


『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の
ポール・トーマス・アンダーソンだもの。

目の付けところが、いつも、ホント特異ですよね。
着眼点と、着地点が。尊敬しますけど。

ある程度、覚悟して観ましたが、なかなかでした。

第2次世界大戦後、アルコールに依存する帰還兵と、
ある新興宗教団体の教祖との出会い。

教祖に魅了される帰還兵、ホアキン・フェニックス VS 
絶対的なカリスマ、フィリップ・シーモア・ホフマン、
そこに教祖の妻、エイミー・アダムスが絡む。
これは愛憎の闘いですよ。ぶつかり合いですよ。

こりゃ、3人ともノミネートされるわけです、と納得。



人はああやって、“こころ”を掌握されていくんですね。


ホアキン・フェニックスも怪演だけれども、
フィリップ・シーモア・ホフマンも恐ろしいやら、情けないやら(!?)。
でも、1番恐ろしいのは……。
むむ〜。

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2013年3月21日 (木)

『メッセンジャー』が伝える見えない犠牲

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メッセンジャー (2009年製作)

★★★☆☆

彼らが伝えるのは

消えることのない悲嘆のはじまり


イラク戦争開戦から10年にあたる今週にぜひとも観ておきたい1本でした。

もし、主人公の上司役ウディ・ハレルソンが

第82回アカデミー賞助演男優賞・脚本賞にノミネートされていなかったら、

第59回ベルリン国際映画祭の脚本賞&平和賞でなかったら、

DVDスルーだったかもしれない珠玉の作品。

82回のアカデミーといえば『ハートロッカー』が席巻した年でもありますが

これは、イラク戦争のみならず、

戦争の“傷跡”や“犠牲”を語る映画として、また1つ
エポック的な作品になるんじゃないかな、と考えています。


このメッセンジャー、何を伝える役目があるのかというと、

戦地に行った子や夫の帰りをまちわびている家族の自宅まで出向いていき
その兵士の戦死について第一報を、
親や、妻という、そのもっとも近しい近親者に対して
伝えることなのでした。

“負傷しながらも仲間を救った英雄”として帰還したウィル(ベン・フォスター)は

その過酷なミッションに向き合うことが、
グリーフワークの扉を開けることになったのでした。


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2013年2月16日 (土)

『ゼロ・ダーク・サーティ』怒濤のラスト30分のために。

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ゼロ・ダーク・サーティ ZERO DARK THIRTY

★★★★☆


キャスリン・ビグローの映画はいつも

心にずっしり重たい荷物を残す



2010年の第82回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞など
5部門を受賞した『ハート・ロッカー』の
キャスリン・ビグロー監督が描く、

2011年、ビンラディン殺害までの内幕。
タイトルは、軍の用語でビンラディン潜伏先への突入時刻、
「午前0:30」を表しているそうです。

彼を追い続け、ついにその居場所をつきとめた
若きCIA分析官マヤを
ジェシカ・チャステインが演じます。

彼女は今月行われる第85回アカデミー賞主演女優賞にも
ノミネートされていて、多分、獲るだろうと予想していますが、
(本作は監督賞、作品賞、脚本賞、編集賞などにもノミネート)

本当に、作品によって印象がぜっんぜん違うんですよね。 
これぞ真の女優なのか、まさに。

しかも、この映画の中でさえ、
冒頭の、アルカイダの捕虜への尋問(というか拷問…)のときに見せる動揺と、
ラスト近辺のキレ具合や仕切り具合とでは、
まるで別人のように見えてきます。

まちがいなく、およそ10年におよぶ
1人の女性マヤの成長物語でもあるんです。

成長…? うん、成長でしょうね。

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2012年11月19日 (月)

遠くて近い『声をかくす人』のその理由

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声をかくす人  The Conspirator

★★★★


「共謀する者」という原題にも注目

ロバート・レッドフォード監督作品。
南北戦争終結直後に起こった、リンカーン大統領暗殺の
その背後にあった実話をもとに、

政治的なメッセージあり、母の愛ありの、最近では一風めずらしい、
重くて、見応えのある史実映画となっています。
(あ、『アルゴ』もありましたが…)

「人民の、人民による、人民のための政治」の演説をしてからおよそ2年後、

演劇を観賞中のリンカーン大統領は、ブースという名の俳優らによって暗殺されてしまいます。

その暗殺者たちを宿にかくまった罪で
アメリカ史上、初めて死刑となった女性が、
ロビン・ライト演じる
メアリー・サラット。

彼女が、いわば「声をかくす人」になるわけでして。

彼女の弁護を担当することになった若き弁護士フレデリック・エイキンの視点で
「正義」と「真実」を探っていく物語となっています。

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2012年8月10日 (金)

『トータル・リコール』でもリコールされないこと

Photo_2

トータル・リコール

★★★

“記憶”に縛られず
なりたい自分になればいい

そう言っちゃうと、元も子もないんですが、
いわずと知れた、シュワちゃん主演、ポール・バーホーベン監督による
1990年の伝説的なSF映画を

コリン・ファレル主演、『ダイ・ハード4.0』のレン・ワイズマン監督でリブート、
再起動です。

原作は、SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』。未読ですが…。

オリジナル版は伝説的と書きましたが、それこそ記憶に残る名物シーンたくさんありますよね。

シャロン・ストーン演じる主人公の妻が突如、豹変するところとか

ぶっ壊れたタクシーのロボ運転手とか

発信器を取り除くために鼻に器具をつっ込むところとか

おばちゃんの顔が崩れて、シュワちゃん登場とか

火星で酸素欠乏中のシュワちゃん登場とか

レジスタンスのリーダー、クワトーの存在とか

ほとんどトラウマといってもいいような(!?)映像体験の数々。

その辺の期待度は高まるところかと思いますが、

リブート版の設定は、かなり違っています。

舞台は火星ではなく、全世界的な化学戦争後の地球。

世界は、富裕層の暮らす地域・ブリテン連邦=UFB(今の地球でいうとEUのあたり)と
労働者層の暮らす地域・コロニー(オーストラリアのあたり)に分断されていて

「フォール」と呼ばれる地球のコアを通る超巨大なエレベーターによって
労働者は富裕地域まで働きに行く、

ということになっています。

ちょっと『TIME/タイム』っぽいですかね。

労働者層の地域は、まるで『ブレードランナー』のような世界観でした。

 

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2012年7月17日 (火)

『ぼくたちのムッシュ・ラザール』いのちの教室

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ぼくたちのムッシュ・ラザール


★★★★★


こどもとっての学校は
生きるための場所であれ


「いのちがもったいない!!!」

小学校時代、初めて太平洋戦争について学んだときの子の作文の1節です。


いのち。

大事にしていきたいです。


じぶんのいのちも。
ともだちのいのちも。
大切なだれかのいのちも。

いま、この映画を観ることは、大きな意味があると思っています。


カナダ・ケベック州のモントリオール。
移民が最も多い州の大都市だけあって、

フランス語が飛び交ってはいますが、たしかにいろんなこどもたちがいます。


いつものように始まる学校での朝、

その日、牛乳当番だったシモンは、みんなより早く行って、
クラスの分の牛乳を受け取り、教室に運んでおかなくてはなりません。

ところが、教室の中を覗いたシモン…。

牛乳びんをぶちまけ、走って先生を呼びに行きます。

先生たちは、登校して来た子どもたちを、追い立てるようにまた外に出そうとします。

ただ1人、シモンを心配した仲良しのアリスだけは、
散乱した牛乳びんに気づき、思わず教室の中を覗いてしまいました。

シモンと同じ光景を見てしまいました。


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2012年6月21日 (木)

『一枚のめぐり逢い』新しい愛で前に進める

Itimai


一枚のめぐり逢い


★★★


喪失を埋めるのは
新しい愛であってもいい

戦地のイラクで見つけた、一枚の写真。

なぜかその写真を肌身離さず身につけていると、何度も命拾いした。
帰還した海兵隊のローガンは、彼女を探すことにする・・・。


『きみに読む物語』『メッセージ・イン・ア・ボトル』のニコラス・スパークスによる原作
『シャイン』『幸せのレシピ』などのスコット・ヒックスが監督、

王道ともいえるラブ・ストーリーですね。


『ハイスクール・ミュージカル』から、すっかり
大人になったザック・エフロン主演。

しかも、

相手役のテイラー・シリングって、
ユニバーサルのTVドラマ「マーシー・ホスピタル」
イラク帰りの元従軍看護師ヴェロニカの人だったんですね〜。

これ、ものすごく見たいんですけれど、

ユニバーサルさん?それともワーナーさんかしら?
どうか、DVD出していただけませんか(^◇^;)


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2012年1月19日 (木)

これが2人の生きた道『マイウェイ 12,000キロの真実』

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マイウェイ 12,000キロの真実


★★★★☆


かつてないスケールの戦争映画であり
2人の男のプライドと感情がぶつかり合う映画

第2次世界大戦末期、朝鮮半島から旧満州のノモンハン、旧ソ連、そしてフランス・ノルマンディー。
約12,000キロを、生き抜いた2人の男の話。

もともとは、アメリカ国立公文書館に保管されていた、
ノルマンディー上陸作戦後のドイツ軍捕虜の写真に
1人の東洋人が写っていたことがきっかけになったトゥルーストーリーです。

当時のドイツ軍には、東方部隊といって中央アジアや朝鮮、日本の捕虜たちが
多くいたそうです。

その1枚の写真のことを追ったドキュメンタリーを見て
映画化を決めたのが、『ブラザーフッド』のカン・ジェギュ監督。

その監督がチャン・ドンゴンとともに、ほれにほれ込んで、
抜擢したのが、オダギリジョー。


2人は、かなり過酷な撮影だったようですが、
こういうのを、「運命のいたずら」というんだろうなという
ストーリーを熱く、熱く、演じていました。


ラストは、わかっていても(泣)です。

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2011年10月27日 (木)

『未来を生きる君たちへ』許すことをどうか忘れないで

Miraiwo


未来を生きる君たちへ

★★★★★


【3/2にDVD発売】


許しとは? 非暴力とは? いのちとは?
親として「観てよかった」と思える1本


重い…。

思ったより、重かったのですが、

約2時間、釘づけになった映画でした。


英題は『IN A BETTER WORLD』ですが、
母国デンマーク語でのタイトルは「復讐」という意味です。


復讐、報復、仕返し、かたき討ち、リベンジ。
類語がたくさんあります。

暴力には暴力を。目には目を、歯には歯を。


でも、子どもたちよ、それでは何も解決しないから、

そうではない、「よりよい世界で」生きてほしいというメッセージなのでしょうか。


物語は、2つの場所で進んでいきます。


アフリカの難民キャンプで働く、国境なき医師団の医師アントン。
キャンプには、患者がひっきりなし。
ときおり“ビッグマン”と呼ばれる残虐者にお腹を裂かれた妊婦も運ばれてきます。

そんな中でも、いのちを救うべく働くアントンを

いつも誇りに思っている、彼の息子のエリアス。

父とは離れてデンマークに住み、学校ではいじめられています。

その学校へ、母親をがんで亡くしたばかりのクリスチャンが転校してきます。

クリスチャンは、母の闘病や死を通して、
父に対してわだかまりを抱えていました。


また、エリアスも、いじめのことは
遠くアフリカの地で身を削って働く父には
なかなか言い出せずにいます。
父と母は別居中でもあるし。


どこか、似通っているこの2人。

エリアスをいじめていた相手をクリスチャンが殴り倒し
ナイフで脅したことから、ほどなく、2人は友達になるのですが・・・。


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