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カテゴリー「教育」の記事

2013年5月29日 (水)

『くちづけ』で泣いた、その後には?

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くちづけ

★★★☆☆

観るものに光を与える

ファンタジーであってほしかった


唐突ですが、人には物語が必要だと思っています。

人が人生をより豊かに生きていくためには。


深い喪失を感じたとき、迷いが生じたとき、
今の現実からちょっとだけ抜け出したいとき、

体験記や闘病記の類は特にそうだと思いますが、

ある人(人たち)と、一時的に人生を共有して、
何らかの希望を得ようとして、何かを期待して

人は物語を読んだり、時には映画を観たり…。

物語とは、人生の道筋に何らかの光と実りの雨を与えるもの。


そうあって欲しいと思って、私は映画を見ていますし、
そうした物語の持つパワーが、結果的に
癒やしや、カタルシス(感情の浄化)につながっていると信じています。

で、こちらの物語です。

貫地谷しほりも竹中直人も好きな俳優で、親子役、
しおりちゃんが知的障碍の役を熱演、
しかも橋本愛ちゃんも出ているということで、ちょっと期待して観ました。

すでに解散している劇団「東京セレソンデラックス」の舞台を映画化。

脚本を書いたのは、その劇団主催の俳優、宅間孝行。

本作でも“うーやん”という知的障碍のある男性を好演されていました。


舞台は未見です。

いまの日本が抱える知的障碍や、
その他の障碍を持つ方たちを取り巻く現実を、
問題提起し、風刺しているとはいえ、


率直にいうと、あんまり好きになれませんでした。

泣いた、ことは泣いた。泣けました。


自分がいるから、姉の結婚がダメになったんだと
気づいたときのうーやんには、泣けました。

しかし、流した涙が乾いたときには、心に虚しさと辛さしか残らない。
あとは、何だろう、憤り、でしょうか。

老老介護を描いた『愛、アムール』を 究極の愛とはとても思えないのと、
どこか一緒で。


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2013年5月18日 (土)

『建築学概論』初恋と、家と、親と。

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建築学概論

★★★★★

あのころにはわからない、焦がれ人の心と親心

“初恋ブーム”の背後のかすかな切ない気持ち

昨年の『サニー 永遠の仲間たち』に匹敵する、

いや、それ以上かも知れない感涙、韓国映画。

今年は本当に、2月の『王になった男』は皮切りに過ぎず、

この映画や、『私のオオカミ少年』『殺人の告白』『ある会社員』
『10人の泥棒たち』『嘆きのピエタ』『ベルリンファイル』などなど
日本公開作品は当たり年ですね。

やっぱり韓国映画、おもしろい。

で、この映画の舞台となるのは、私自身も“華”?の20代を過ごした1990年代と、
2010年代の現代という2つの時代。

建築士のスンミンのもとに、ソヨンという女性が訪ねてきます。
済州島にある実家をある目的のために改築してほしい、というのです。

そして、少しずつ記憶をたぐるように描き出されていく、2人の学生時代。
かつて「建築学概論」という授業を一緒に取った2人の
淡い初恋がよみがっていきます。

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2013年5月15日 (水)

『17歳のエンディングノート』彼女、生きるのが楽しいってよ。

17

17歳のエンディングノート Now is Good 

★★★★★

ダコダとジェレミーが魅せる

青春“終活”ラブストーリー

 

マザー・テレサは、

たとえ人生の99%が不幸であったとしても、
最後の1%が幸せであるならば、
その人の人生は、幸せなものに変わるのです。

という言葉を残したそうです。

この映画の主人公テッサにとって、99%の人生が不幸でなかった、
といえばおそらく嘘だろうと思いますが、

テッサの最後の数カ月は、もっとも幸せなものであったでしょう。

自らが描いた“エンディング”TO DOリストは
ほとんど成し遂げましたしね。

最高の恋もしたし。

この映画は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の
脚本家オル・パーカーが
イギリスのジェニー・ダウンハムのベストセラー小説「16歳。死ぬ前にしてみたいこと」を元に脚本を書き、監督も手がけています。
『マリーゴールド・ホテル〜』は大好きです。

白血病で余命宣告を受けているテッサ。
17歳になったある日、大人になるまで生きられないのならと、
一生分の経験をするために
TO DOリストをひそかに作り、親友のゾーイと実行に移そうとします。

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2013年4月20日 (土)

『ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜』これが生きる力だ!

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ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜

 

Beasts of the Southern Wild

★★★★★


絵本の世界のようなファンタジーと
厳しい現実との はざまにある
“いのち”の本質と生命力



ゆとり教育の導入のとき、
「生きる力」を育むとか、なんたら、かんたらという文脈がありましたが、
この映画の中にあるものこそ、「生きる力」だと思うんです。

6歳の少女ハッシュパピーが体験する、“いのちの尊さと厳しさ。
いのちをまっとうして、生きていくための力。

これ、全国の小中学校で【いのちの授業】の教材にしたらいいと思うんです。
もう必修科目で。

今の時点で、2013年上半期のBest1。
『ライフ・オブ・パイ』より持っていかれる作品に
こんな短いスパンで出会ってしまった、という感じです。

つまり、近ごろアカデミー賞をにぎわす作品の
ベクトルが近しいのかもしれませんね。

もともとは戯曲で、ベン・ザイトリン監督自らが脚色。

サンダンス映画祭グランプリも納得。最優秀撮影賞も。
今、何かと話題のカンヌ国際映画祭でも、カメラドール(新人監督賞)に選ばれています。

アカデミー賞では『リンカーン』や『レ・ミゼラブル』『アルゴ』
『ライフ・オブ・パイ』などと肩を並べて、

作品賞にも、監督賞にも、主演女優賞にも、脚色賞にもノミネートされているところがスゴい。

そういう部分のアカデミー賞の間口の広さには敬意を感じます。

特に、主演のクヮヴェンジャネ・ウォレス(9歳)ちゃんが史上最年少、
『愛、アムール』エマニュエル・リヴァ(85歳)が史上最年長で、
主演女優賞に同時ノミネートということで、
各方面に話題をふりまき、来日もしてくれましたよね。

とても利発そうな子でした。
彼女なくしては、この映画はなかった。


彼女のかわらしさを全面に出したビジュアルで、こちらのチラシもありましたが、

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私は、本国の花火のシーンのが一番好きです。

世界観は、むしろこっちだろうと思います。



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2013年4月 2日 (火)

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』ふたりの人生に乾杯。

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ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの HERB & DOROTHY 50×50

★★★★★

集める人生から、片づける人生へ
アートの旅は終焉に。

前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』で、

“小さな巨人”とはホントよく言ったものだ、と
心にずーっと残っていて、

すっかり2人の、小さな巨人に魅せられてしまって。

2人のお互いへのリスペクトぶりに。

アートへの情熱ぶりに。

ハーブ&ドロシーは、夫婦というよりソウルメイト。
アートの森をともに探索し、
作品を求め続けている、バディのようにとらえていました。
(そして昨年に悲しいニュースが届いて…)

ブログに書いていませんでしたね、私。

続編にあたる本作では、

ナショナルミュージアムに4000あまりの
膨大なコレクションすべてを寄贈することはできないことがわかり、

全米50州から1カ所ずつ、自ら選んだ美術館に
50点ずつ分散して寄贈する「50×50」というプロジェクトが計画されます。
その立ち上がりから、
それぞれの美術館での受け止め方や、
ハーブとドロシーがそれをどう受け止めているか。
また、アーティストたちがどう受け止めているか。
さらには、実際に彼らのアートコレクションを目にすることになった
全米の一般の人たちはどう感じているかを追っています。

特に、ホノルル美術館の子どもたちへの試みはよかった。

アイデアとユーモアにあふれていました。

また、インターネットを利用したクラウドファンディングで資金をつのったところ、 この続編には1400万円を超える金額が集まったそうで、
これは1本の映画に対するクラウドファンディングとしては、
日本で最大規模のものなんだそうです。

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2013年2月14日 (木)

『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』ぜんっぜん、ダメじゃないよ。最高なんだよ。

Winwin

WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々  (WIN WIN)

★★★★4.8


レスリング大好きな2人が輝く

小粒だけど、やっぱり大好きな映画


『リトル・ミス・サンシャイン』や『サイドウェイ』の、

フォックス・サーチライト・スタジオが製作。


冴えない弁護士とワケあり少年が、

レスリングという共通の愛するスポーツを通じて再生する、

ユーモアたっぷり、ハートウォーミングな物語。

大好きなタイプの映画です。俳優陣も、キャラも、セリフも好きですね。

仕事がなく金欠にあえぐ、弁護士のカイル(ポール・ジアマッティ!)は、

近所の資産家で1人暮らしのレオの認知症が進んだことを知ります。

レオには娘がいるというのに、行方知れず。ほかに身寄りもない。

高額な報酬を目当てにして、マイクは

レオの“後見人”Guardian になることに。

その際に、ちょっとしたウソをついてしまうのです…。

日本にもある成年後見人というものですね。

認知症や知的障がい、精神障がいなどで、財産管理や契約などの判断を自分でつけるのが難しい方々を 保護したり、支援するという制度。

日本では今、弁護士などの公的資格がなくても、一般市民もなれる“市民後見人”の養成もいわれていますが、報酬の問題って、難しい。

果たして、ボランティアでいいのでしょうか、という気もしています。

地方自治体に振りすぎだと思いますし…。

で。

ところが、

身寄りがなかったはずのレオを訪ねて、

レオの孫だという、ブロンドの少年カイルが現れます。

この子が何だか、ワケありふうで…。

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2013年1月25日 (金)

生かされた いのち『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』

★★★★★


3Dの圧倒的映像が語る
想像を絶する海上の日々

パイの人生の227日を約2時間、壮絶に旅して、もうクタクタ。

でも、割と心地よい疲労感です。

ふだん、メガネonメガネになってしまうので
すすんで3Dは観ないのですが、
これは特筆すべき。

ジェームス・キャメロンのいうことを素直に聞いて、
3Dで観ることをおすすめします。できればIMAXで。
これは、意味のある3Dというんでしょうか。

猛獣のベンガルトラと太平洋上に2人きり。いや、1人と1匹きり。

トラとともに過ごした、海の上のパイの旅を映像化するのに

3Dは不可欠だったように見えます。

海というのは、これぐらい本当に壮大で美しいんだけれども、
逆に、とうてい人の手などに負えない
恐ろしさや、ミステリアスさ、手強いものであることをあらわせたのは
3Dでこそだったからじゃないかと思います。

しかも、猛獣のトラと一緒だし。

すごいです、アン・リー。

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2013年1月13日 (日)

『映画 鈴木先生』のメソッドで教育論に風穴を

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★★★★


鈴木チルドレンが学校から世界を変えていく


おかえりなさい、鈴木先生!


2011年の最低平均視聴率ドラマでありながらの映画化。
あっぱれ!待ってました!
最初は誰に言われたのか。Twitterだったかもしれません。
テレ東でやってる「鈴木先生」というドラマがおもしろいって。
実際、観てみると
ほーー、なるほど、本当に。こんな先生はそういないかも。
妄想は飛んじゃってるしw、話もぶっ飛んでるけど。
でも、ものすごく子どもたちのことを観察してる。
洞察してる。
考えている。
問題提起性も半端ない。

実際の中学の先生は、学校行事や部活などもあって
もっと忙しいと思うので、
これほどまでに子どもたちに向き合うのは
現実的ではないのかもしれないですけれど、
鈴木先生の教育理論<鈴木メソッド>や
それに基づく実験の数々は、すごく好きです。共感しています。
今回の劇場版では、妊娠中の恋人・麻美さんと結婚。
病欠していた天敵・足子先生も復活。
(足子先生の立ち直り方法がまたものすごく…)
2学期になり、生徒たちがのぞむ生徒会選挙。
折しも、そのさなかに、
卒業生の1人が学校に立てこもり、
鈴木先生のお気に入りの小川さんを人質にとる事件が発生してしまいます。
さて、どうする、鈴木先生!?
ちょっとまあ、ストーリー的に強引な面がありますけれど、
鈴木先生だから(?)許せます。何でも来いっ!

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2013年1月 9日 (水)

『理想の出産』母性の幻想を打ち砕け!

 

新年、新学期となりまして、久しぶりの更新です。
今年もどうぞよろしくお願いします。

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理想の出産

★★★★

 

人生がひっくり返る一大イベントを

ここまでリアルに描いたか!

 

2013年の1発目の本作、どうやら東京・新宿の新装「シネマカリテ」では
11日までの公開だそうなので、
これは紹介しておかねば!と思った次第です。
これから全国順次に、どうか、どんどんと公開されていってほしいのです。

昨年12月は奇しくも同時期に、
妊娠・出産・育児を取りあげた映画が2本公開されました。
それが本作と、後ほどアップします『恋愛だけじゃダメかしら?』になるのですが
全米の妊婦のバイブルといわれる原作をもとにした
キャメロン・ディアス、ジェニファー・ロペス、エリザベス・バンクスなど
豪華キャスト共演のハリウッド製オムニバスっぽいラブ・コメディ
であるのに対して、

こちらは、もちろんコメディ要素もありますけど、
1人の女性のプロセスをじっくりと追った
意外にもR+18指定のフランス映画。
とある男女の出会いから、恋愛、妊娠、出産、育児の日々を描き、
やがて1つの家族になっていくまでを
何ともリアルなテイストで丹念に描いており、
「妊産婦あるある」や、経験者の名言(迷言?)も満載で、
どちらかといえば、こちらのほうを愛してるかもと思うのです。

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2012年11月14日 (水)

『ミラクルツインズ』が伝えるライフ・イズ・ミラクル

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ミラクルツインズ THE POWER OF TWO

★★★★


今ここにある、この命こそ

ただ1つの奇跡


肺の遺伝性難病「嚢胞性線維症」(通称・CF)を抱えて生まれた双子

アナベルとイサベルの人生を追ったドキュメンタリー。

幼いころから入退院を繰り返し、

命を脅かす呼吸困難と何度も闘いながら、

お互いを支えにしてきた2人。

年に1度のCF患者が集まるサマーキャンプを楽しみにし、

退屈な入院生活の間は

自分たちの経過を日記にまとめていました。

彼女たちの毎日は、常に病気とともにありました。

そんな彼女たちを救ったのは臓器移植。

日本の2歩も3歩も、いや10歩以上も先をゆく、

臓器移植大国アメリカであったからこそ

彼女たちのミラクルは実現できたんです。

いや、でも、それにしても

何なんでしょう。彼女たちのポジティブさ、明るさは。

「病気が、今の自分たちをつくった」という受容の姿、

ドナー家族に対する深い感謝と思いやりの姿、

積極的にいろんなスポーツにチャレンジしている姿に

ある“強さ”を感じずにはいられません。

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